この記事でわかること
- 「向いてる仕事」という言葉に詰め込まれている6つの意味
- 放置と保留の違い。決めない代わりにデータを取るという考え方
- まわりの「向いてるよ」と自分の実感がズレたときの扱い方
- 答えを出さないまま判断材料を増やす、具体的な順番
自分に向いてる仕事がわからない。その状態が何か月も続いていると、決められない自分のほうに問題があるように思えてきます。
けれど、探すほど遠ざかっていくなら、探し方のほうを疑ったほうが早いかもしれません。「向いている」という言葉には、実は複数の意味が同時に入っています。
この記事では、答えを出す方法ではなく、答えを出さないまま確かめていく方法をお伝えします。今すぐ決めなくていい。ただし、何もしないのとは違います。
自分に向いてる仕事がわからないのは、言葉に6つの意味が入っているから
向いてる仕事が見つからない一番の理由は、探す対象が定まっていないことです。「向いている」を、次の6つの意味で同時に使っていないでしょうか。
なお、以下の6つは公的に定められた分類ではなく、編集部が整理したものです。
- 01好きだと感じる
- 02得意で、成果が出せる
- 03やっていて疲れにくい
- 04長く続けられる
- 05収入や働く条件が見合う
- 06まわりから評価される
6つ全部そろう仕事を探していないか
この6つは、それぞれ別のものです。好きだけれど成果が出ない仕事もあれば、成果は出るのに疲れきってしまう仕事もあります。
つまり、矛盾しているのはあなたではありません。違う判断軸を「向いてる」というひとつの言葉にまとめているから、答えが出ないだけです。
6つ全部を満たす仕事を探しているかぎり、検索を続けても候補は増えません。増えないから、自分の探し方が悪いのだと感じる。この繰り返しが、いちばん消耗します。
違和感を抱えたまま働いている期間は、珍しくありません
マイナビ「転職動向調査2026年版」によると、2025年に転職した正社員1,446名のうち52.6%が、前の職場で自分のキャリアに停滞感を感じていたと回答しています。「とてもそう思う」19.3%と「まあそう思う」33.3%を合わせた数字です。
きっかけとして挙がっているのは、毎日同じ仕事内容の繰り返し、まわりの評価とのギャップ、将来性が見えなかった、といった声でした。自由回答のため、それぞれの割合は公表されていません。
この調査からは、その方たちが次の行き先を決めていたかどうかまではわかりません。わかるのは、停滞を感じながら働いていた期間があった方が、転職した方のなかでは半数を超えていたということです。
いま同じ場所にいるとしても、それは決断が遅いということではありません。続けられるかどうかを基準に仕事を選ぶという考え方は、続けられることを基準に仕事を選ぶ視点をまとめた記事でも扱っています。
「保留」は放置ではない|決めない代わりにデータを取る
答えが出ないとき、選択肢は「決める」か「放置する」の2つではありません。3つ目に「保留する」があります。
保留と放置の違いは、はっきりしています。放置は、何も変わらないまま時間が過ぎること。保留は、決めない代わりに判断材料を増やすことです。
転職活動をしている方も、大半は「必ず転職したい」ではありません
急いで決めなくていい、という話を数字で確認しておきます。
マイナビ「転職活動実態調査(2025年)」では、直近1年間に転職活動をした正社員1,500名に活動時のスタンスを聞いています。最も多かったのは「いい会社が見つかれば転職したい」で56.9%。「必ず転職したい」は28.5%でした。
このうち、実際には転職しなかった1,000名にかぎると、「いい会社が見つかれば転職したい」は64.3%まで上がります。
動き出している方のなかでも、退路を断って決めているわけではない方のほうが多い。ここは、押さえておいていいと思います。
保留の期間に集めるもの
保留を機能させるには、集めるものを決めておきます。以下は、行政が定めた基準ではなく、編集部が整理した目安です。
- 01
実績の記録
どの業務で成果が出て、どの業務で消耗したかを2〜4週間分。
- 02
他の方からの具体的な評価
「向いてるよ」ではなく、何を見てそう思ったかまで。
- 03
実際に触ってみた感触
興味のある仕事について、調べる、聞く、社内で近い業務をやってみる。
HINT
6つのうち、いま一番欠けているものを選ぶ
さきほどの6つを、なくなると困る順に並べてみてください。1番目に来るものが、いまのあなたにとっての「向いている」です。全部を満たそうとしなくて大丈夫です。
期限は「決める日」ではなく「そろう日」に置く
保留を放置に変えないために、期限を置きます。ただし、置く場所が違います。
「3か月後までに向いてる仕事を決める」ではなく、「3か月後までに判断材料を3種類そろえる」。前者は達成できたかどうかがわかりませんが、後者は数えられます。
決めるための期限は、材料がそろってから置いても遅くありません。材料の集め方そのものは、社会人の自己分析を順番に進める方法を整理した記事でも詳しく扱っています。
まわりの「向いてるよ」と自分の実感がズレたら
他の方からの評価は大事な材料です。ただし、そのまま受け取ると、かえって迷います。
Yahoo!知恵袋には、こんな投稿があります。もともと営業を希望していたわけではないけれど、人材会社の担当者や面接先から「営業職向いてるよ」と言われて営業に転職した20代後半の女性の投稿です。
4か月ほど働いても新規契約は数件しか取れず、上司からは結果を求められ、顧客からも向いていないと言われた。さらに、扱っている商品そのものにも不信感がある、と書かれています。
ひとつの投稿ですが、同じような声は実際にあります。ここで起きているのは、他の方が見た適性と、本人が働いて感じる適性のズレです。
職種名ではなく、評価された能力まで戻す
対処はシンプルです。「向いてるよ」と言われたら、職種名で受け取らず、こう聞き返します。
「私の何を見て、そう思いましたか?」
「話しやすい」なら、評価されたのは対人関係の能力かもしれません。それは営業だけでなく、顧客支援にも、採用にも、研修にも使えます。「説明がわかりやすい」なら、教える仕事のほうが近い可能性もあります。
職種名は、能力を包む器のひとつにすぎません。器ごと受け取ると、中身が合っているかどうかを確かめられなくなります。自分の強みを実績から見つける方法は、別の記事でも順を追って整理しています。
向いていないのか、この会社が合わないのかを分ける
先ほどの投稿では、成果が出ないことと、商品への不信感が同時に語られていました。この2つは、分けて考える必要があります。
営業という仕事そのものが合わないのか。この会社の売り方や商材が合わないのか。前者なら職種を変える話ですが、後者なら会社を変えれば済むかもしれません。
そしてもうひとつ、適性だけでは決められない場合もあります。Yahoo!しごとカタログには、中学生の子どもを育てながら働く40代女性の投稿があります。仕事でミスが多い自覚があり、体調を崩して休んでいた時期もある。別の職場からパートの内定を得ていたものの、収入が大きく下がるため迷った末、最終的に今の職場に戻る道を選んだと書かれています。
向いているかどうかは、判断材料のひとつです。収入、家族との時間、通勤、体調。それらと並べて、はじめて選べるようになります。適性だけで決めようとすると、かえって決まりません。
診断も相談も、答えをもらう場所ではない
保留のあいだに使える公的な仕組みが2つあります。どちらも、答えを渡してくれる場所ではありません。材料を増やす場所です。
診断結果がピンとこないのは、そういう作りだから
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」のよくあるお問い合わせには、次のようなことが書かれています。
検査で表示される職業リストは、回答者の学歴、就業経験、取得資格、専門性を考慮していないため、あくまで参考であること。類似する職業は数値の近さで選んでいるため、一般的なイメージからは違和感のある職業が出る可能性があること。
診断を受けて納得できなかった経験があるなら、それは想定内の反応です。運営している側が、先にそう書いています。
だからこそ、結果は「なぜこの職業が出たのか。自分のどの特徴と一致したのか」を確かめる材料として使います。職業名を答えとして受け取らなければ、外れることを恐れずに何度でも試せます。
転職を決めていなくても使える、無料の相談
厚生労働省の委託事業であるキャリア形成・リスキリング推進事業では、在職中の方も求職中の方も、無料でキャリアコンサルティングを受けられます。全国47都道府県の支援センターと、ハローワークに併設された相談コーナーで実施しており、1回60分、対面またはオンラインです。
この事業の相談では職業紹介を行わないことが、公式に明記されています。転職するかどうかを決めていない段階でも使いやすいのは、この設計のためです。
ただし、条件があります。事前に「ジョブ・カード」という書類を作ったうえで実施する形になっており、思い立ってすぐ受けられるわけではありません。公式には、全部書けていなくても申し込みは可能と案内されています。
保留の期間に、他の方からの具体的な評価をもらう場としても使えます。ひとりで考え続けるより、材料は早くそろいます。
MOREARIAでは、迷いながら働き方を変えてきた女性たちのインタビューを掲載しています。最初から向いてる仕事がわかっていた方は、ほとんどいません。決めきれない時期を通ってきた方の物語が、あなたの判断材料のひとつになるはずです。
自分に向いてる仕事がわからないときのよくある質問
同じテーマで聞かれることを3つ挙げておきます。
向いてる仕事がわからないまま、何年も過ぎてしまわないでしょうか?
怖いのは時間が経つことではなく、何も変わらないまま経つことです。期限を「決める日」ではなく「判断材料が3種類そろう日」に置き換えてみてください。数えられる目標にすると、進んでいるかどうかが自分でわかります。
まわりに「向いてるよ」と言われるのに、自分ではそう思えないときは?
職種名ではなく、何を見てそう思ったのかを聞いてみてください。評価されている能力がわかれば、その能力を使える仕事はほかにもあります。職種が合わないだけで、能力は合っている場合があります。
今の仕事を続けながら、向いてるかどうかを確かめられますか?
できます。2〜4週間、どの業務で成果が出てどの業務で消耗したかを記録するだけでも材料になります。社内で近い業務を試したり、無料のキャリア相談を使ったりする方法もあります。
まとめ|自分に向いてる仕事は、決めなくても近づけます
自分に向いてる仕事がわからないという状態は、決断力の問題ではありません。ひとつの言葉に複数の意味が入っているせいで、探す対象が定まっていないだけです。最後に、要点を振り返っておきましょう。
「向いてる」に入っている6つの意味を分けて、優先順位をつける
保留は放置ではない。決めない代わりに判断材料を増やす
「向いてるよ」は職種名ではなく、評価された能力まで戻して聞く
診断も相談も、答えではなく材料をもらう場所として使う
今日できることは、ひとつだけです。さきほどの6つを、なくなると困る順に並べてみる。5分もかかりません。順番がついた時点で、探す対象はもう少しはっきりしています。答えを急がなくて大丈夫です。あなたの歩幅で、材料を増やしていってください。
参考資料
- マイナビキャリアリサーチLab「転職動向調査2026年版(2025年実績)」(2026年3月23日)
- マイナビキャリアリサーチLab「転職活動実態調査(2025年)」(2025年9月24日)
SUPERVISED BY
akina
MOREARIA Inc. 代表 / MOREARIA編集長
MOREARIA編集長。「やりたいことはあるけど、踏み出せない」女性に向けて、挑戦する人たちのリアルな物語と、自分らしい一歩を考えるきっかけを届けるメディアを運営。マーケティング支援事業や実践型スクール「MOREARIA LAB」も展開している。
Morearia
挑戦する女性たちの、隣に。
MOREARIAは、「挑戦する女性たちの次の一歩」に寄り添うウェブメディアです。あなたの一歩が、誰かの次の一歩になるかもしれません。
まずはご相談くださいフォームでのお問い合わせはこちらMOREARIAへの掲載費用はかかりますか?
掲載にあたっては、まずお気軽にお問い合わせください。費用やご協力内容については、個別にご相談のうえご案内しております。
取材やインタビューに興味がありますが、どこから連絡すればいいですか?
お問い合わせページよりご連絡ください。まずはお気軽にご相談いただけます。
記事に登場する方は、どのような方ですか?
キャリアや働き方、起業など、自分らしい選択をしてきた女性を中心にご紹介しています。特別な肩書きや実績よりも、リアルなストーリーを大切にしています。
Follow Us
フォローする














