この記事でわかること
- 女性管理職比率を全国平均だけで判断しない理由
- 同業種・近い条件で女性管理職比率を比べる3ステップ
- 女性従業員比率・係長級・賃金差・勤続・残業・育休を合わせて見る方法
- 公開データの調べ方と、面接で確認する質問
転職先を調べていて、「女性管理職比率20%」「女性管理職比率30%」といった数字を見かけることがあります。数字が高ければ、女性が昇進しやすく、長く働ける会社のようにも見えます。
ただ、「何%あれば高いの?」「全国平均より上なら安心?」「女性管理職が多ければ、女性にとって働きやすい会社なの?」と考えはじめると、その数字をどう受け止めればいいのか迷ってしまうのではないでしょうか。
女性管理職比率は、全国共通の「○%以上なら高い」という1本の線だけで判断しないことが大切です。 業種によって女性の従業員構成は大きく異なり、公表されている数字も、対象となる「管理職」の定義によって比較できない場合があるからです。
転職先を選ぶときは、同業種と比較する → 女性従業員比率や係長級を見る → 賃金差・勤続・残業・育休を見るという順番で確認すると、女性管理職比率を応募先選びに使いやすくなります。
2026年4月1日から、常時雇用する労働者101人以上の企業では、女性管理職比率が情報公表の必須項目になりました。(東京労働局) ただし、2026年4月1日に対象企業が一斉に女性管理職比率を公表するわけではありません。初回は、施行後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表します。(千葉労働局|女性活躍推進法について)
たとえば3月末決算の企業なら、施行後最初に終了する事業年度は2027年3月末となるため、2027年6月末ごろまでの公表が目安です。(千葉労働局|女性活躍推進法について) 「施行した=すべての企業のデータがすでにそろった」とは考えず、企業ごとの事業年度も確認しましょう。(千葉労働局|女性活躍推進法について)
女性管理職比率は「○%以上なら高い」と一律に決めない
女性管理職比率を見つけると、最初に知りたくなるのが「平均より高いのか、低いのか」ではないでしょうか。ただし、全国平均だけで候補企業を判定すると、数字を読み違える可能性があります。
まず「管理職」の定義をそろえる
最初に確認したいのが、何を「管理職」として数えているかです。女性活躍推進法に基づく情報公表では、「管理職」は課長級と、それより上位の役職にある労働者で、役員は除かれます。(令和8年度民間企業における女性活躍促進事業)
一方、厚生労働省の令和7年度雇用均等基本調査では、「課長相当職以上(役員を含む)」に占める女性の割合が13.8%でした。同じ「女性管理職比率」の参考に見える数字でも、役員を含むかどうかが違います。(厚生労働省) そのため、「国の平均が13.8%だから、この会社の15%は高い」と単純に比べるのではなく、まず定義が同じかを確認しましょう。
全国平均は参考値。応募先の合否ラインにはしない
令和7年度雇用均等基本調査では、企業規模10人以上を対象にした調査で、次の結果が出ています。
課長相当職以上・役員含む:13.8%
部長相当職:9.2%
課長相当職:13.2%
係長相当職:20.9%
この企業調査は、常用労働者10人以上の民営企業を対象とし、原則として2025年10月1日現在の状況を調べたものです。(厚生労働省) 令和7年度は6,000企業を対象に実施され、3,077企業から有効回答がありました。有効回答率は51.3%です。(厚生労働省・調査概要)
また、13.8%は、「課長相当職以上(役員を含む)」の役職者総数を100としたときの女性割合です。女性活躍推進法の公表制度における「管理職」は役員を除くため、13.8%を個別企業の公表値と直接比較する合否ラインにはしません。
これらは日本全体の状況を知る参考にはなりますが、転職先候補を「13.8%以上なら合格、未満なら不合格」と判定するための基準ではありません。企業規模や業種、従業員構成、これまでの採用状況などによって、女性管理職比率は変わるからです。
業種差が大きいので同業種で比べる
特に大きいのが業種差です。同じ調査の「課長相当職以上・役員を含む」女性割合を見ると、医療・福祉は53.6%、情報通信業は14.7%、電気・ガス・熱供給・水道業は5.6%でした。(厚生労働省) つまり、女性管理職比率が15%の会社でも、どの業種に属しているかによって数字の見え方は変わります。
転職先候補を見るときは、全国平均 → 候補企業と直接比べるより、同じ業種・近い規模の企業 → 候補企業という順番で見るほうが現実的です。厚生労働省も、女性管理職比率などの数字には企業規模や業種などの背景が影響するため、数値の大小だけではなく、背景や過去からの変化を見るよう案内しています。(厚生労働省)
転職先の女性管理職比率を判断する3ステップ
では、実際の転職活動ではどのように見ればいいのでしょうか。以下の3ステップは、厚生労働省が定めた公式の判定手順ではありません。本記事では、女性活躍推進法の公表項目や厚生労働省の案内をもとに、転職先を確認しやすい順番としてMOREARIA編集部が3ステップに整理しています。そのうえで、候補企業を1社決めたら、次の順番で確認します。
STEP1 同業種・近い規模・同じ定義で比べる
最初は、比較する条件をそろえます。確認したいのは、次の5点です。
同じ業種か
企業規模が大きく違いすぎないか
同じ時点の数字か
「管理職」の定義が同じか
単体企業の数字か、別の集計範囲か
女性管理職比率が高いか低いかを判断したいなら、できるだけ条件の近い企業を2〜3社並べてみましょう。厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」では、企業名だけでなく業種・企業規模・都道府県などから情報を確認できます。2025年12月末時点で3万9,615社がデータを公表しており、女性管理職比率だけでなく、採用、残業、育休、男女間賃金差異なども確認できます。(厚生労働省)
STEP2 女性従業員比率・係長級・推移を見る
次に見るのが、女性管理職になるまでの流れです。同じ「女性管理職比率15%」でも、従業員の半数以上が女性の会社と、女性従業員が2割程度の会社では意味が同じとは限りません。そこで、公表されていれば、労働者に占める女性の割合 → 係長級に占める女性の割合 → 管理職に占める女性の割合という流れで数字も確認します。
女性従業員は多いのに、係長級や管理職になる段階で女性の割合が急に小さくなっているなら、「どの段階で差が生まれているのか」を確認する材料になります。反対に、現在の女性管理職比率がまだ高くなくても、係長級の女性が増えていたり、過去数年で管理職比率が上昇していたりする会社なら、今後の登用状況も確認する価値があります。女性労働者比率や係長級女性比率は、女性活躍推進法でも女性の活躍状況を見る項目として位置づけられています。(令和8年度民間企業における女性活躍促進事業)
現在の1つの数字ではなく、管理職になるまでの流れと変化を見る。ここが女性管理職比率を読むうえで重要なポイントです。
STEP3 賃金差・勤続・残業・育休も合わせて見る
女性管理職が多いことと、長く働き続けやすいことは同じではありません。そこで最後に、次の数字も合わせて確認します。
男女間賃金差異
男女の平均継続勤務年数
継続雇用割合
平均残業時間
男女別の育児休業取得率
有給休暇取得率
厚生労働省も、女性管理職比率などの「活躍」の数字だけでなく、残業時間や育児休業取得率などの「働きやすさ」の数字を一緒に見ることを勧めています。(厚生労働省) 管理職になれるかだけでなく、その会社でキャリアを続けられそうかまで見ることで、転職後のミスマッチを減らしやすくなります。
比率が高い会社・低い会社で追加確認するポイント
女性管理職比率は、高ければ自動的に安心、低ければ自動的にNGという数字ではありません。数字だけで結論を出さず、その背景をもう一段確認してみましょう。
高くても「女性が多いから」で判断を終わらせない
女性管理職比率が高い会社を見つけても、そこで判断を止めないことが大切です。たとえば女性従業員そのものが多い業種では、女性管理職比率も高くなりやすい場合があります。確認したいのは、「女性が多い会社か」ではなく、「女性がキャリアを積み上げられている会社か」です。
女性従業員比率、係長級、管理職、部長級などを順に見ながら、キャリアが上がるにつれて女性だけが急激に減っていないかを確認します。さらに、管理職比率が高くても、男女間賃金差異や勤続、残業などに気になる点があるなら、それは別の確認材料です。
女性管理職比率に加えて、会社全体の働きやすさも確かめたい場合は、関連記事「女性が働きやすいホワイト企業の見分け方」で、複数の公開データを組み合わせた見方を確認できます。
低くても即NGにせず、登用の流れと改善状況を見る
女性管理職比率が同業他社より低い場合は注意材料になりますが、それだけで応募先から外す必要はありません。まず、次の点を確認します。
女性従業員自体がどれくらいいるか
係長級の女性は増えているか
女性管理職比率が過去から上昇しているか
行動計画に具体的な目標があるか
女性の勤続状況に変化があるか
反対に、女性従業員は多いのに管理職が極端に少ない、係長級も少ない、比率が長期間動いていないといった状態が重なるなら、面接などでもう一段確認したいところです。厚生労働省のデータベースには数値だけでなく、企業が取組内容を説明する欄もあります。数字が低い・高いだけで終わらず、「なぜ今この数字なのか」「何を変えようとしているのか」まで読むと判断しやすくなります。(厚生労働省)
応募前に女性管理職比率を調べる方法
候補企業の女性管理職比率を調べるときは、企業の採用ページだけでなく、公的なデータベースも使えます。ここでは、応募前に確認しておきたい3つの調べ方を見ていきます。
女性の活躍推進企業データベースを確認する
まず確認したいのが、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」です。女性管理職比率のほか、次の項目を確認できます。
女性の採用状況
女性労働者比率
残業時間
育児休業取得率
男女間賃金差異
一般事業主行動計画
各種認定
これらは同じページで並べて見られます。(厚生労働省) 数字を1つ見るのではなく、この記事で紹介した順番に並べて見ると使いやすくなります。
しょくばらぼで複数社を比較する
厚生労働省の「しょくばらぼ」では、勤務実態や採用状況など幅広い職場情報を検索し、複数企業を比較できます。「女性の活躍推進」「ワークライフバランス」「育児と仕事の両立」といった視点から企業を確認できるため、候補が複数あるときに便利です。(しょくばらぼ)
ただし、しょくばらぼで項目が空欄になっていても、「実績が0」という意味だとは判断しません。しょくばらぼは、「女性の活躍推進企業データベース」など複数の連携元サイトの情報や企業が直接入力した情報をまとめており、企業ページでは最終更新日や連携元ごとの更新日も確認できます。(しょくばらぼ・情報掲載元)
また、「残業時間」と見える数字でも、指標によって対象と計算方法が異なります。「月平均所定外労働時間」は、前事業年度の正社員1人当たりの平均所定外労働時間で、課長級以上は算定対象から除かれます。一方、「雇用管理区分ごとの一月当たりの労働者の平均残業時間」は、法定時間外労働と法定休日労働をもとにした指標で、管理監督者など一部の労働者を対象から除きます。(しょくばらぼ・用語説明)
複数社を比べるときは、空欄を0と読み替えず、同じ項目名・対象範囲・更新時点で比較しましょう。まだ候補企業自体を絞れていない場合は、「女性活躍企業はどう探す?本当に働きやすい会社を見極める3つのポイント」で、企業の探し方から整理できます。
企業の説明欄・行動計画まで読む
数字を確認したら、企業の説明文や一般事業主行動計画にも目を通します。たとえば「女性管理職比率を○年までに○%へ引き上げる」「管理職候補となる女性社員の育成を進める」「育休復帰後のキャリア支援を行う」など、現在の数字から何を変えようとしているのかが分かる場合があります。現在値だけではなく、変化の方向まで含めて判断することがポイントです。
面接で確認すると判断しやすい3つの質問
公開情報を確認しても、自分が配属される部署の実態までは分からないことがあります。その場合は、面接や面談で次のように聞く方法があります。
- 01
「配属予定の部門では、女性のリーダーや管理職はどのような形で活躍されていますか?」
会社全体ではなく、自分が働く可能性のある職場の状況を確認できます。
- 02
「中途入社の場合、どのような評価や経験を経て管理職へ進むケースがありますか?」
女性だけに限定せず、中途採用者の昇進ルートそのものを確認できます。
- 03
「育休や短時間勤務などを利用した後も、管理職を含めてキャリアを継続されている事例はありますか?」
制度が「あるか」だけではなく、利用後もキャリアを続けられるかを見る質問です。
女性管理職比率は会社全体の結果を示す数字です。最後は、自分が入る職種・部署・働き方でも同じようなキャリアが描けるかまで確認してみてください。
女性管理職比率についてよくある質問
女性管理職比率は何%なら高いですか?
全国共通の「○%以上なら高い」という転職判断ラインはありません。業種や企業規模、女性従業員比率、管理職の定義などが異なるためです。まず同業種・近い規模の企業と比較し、女性従業員比率や係長級、過去からの推移まで確認する方法がおすすめです。
30%以上なら女性活躍が進んでいる会社ですか?
30%だけで判断することはできません。第6次男女共同参画基本計画でも、2030年目標は民間企業の係長相当職33%、課長相当職24%、部長相当職15%と役職ごとに異なります。東証プライム市場上場企業の「役員」については30%が目標です。(男女共同参画局) そのため、「30%」をすべての企業に共通する女性管理職比率の合格ラインとして使うのは適切ではありません。
女性管理職比率を公表していない会社は避けるべきですか?
公表が見つからないだけで、すぐに応募先から外す必要はありません。まず確認したいのは、常時雇用する労働者が101人以上か、そしてその企業の事業年度がいつ終わるかです。2026年4月1日から、常時雇用する労働者101人以上の企業では、女性管理職比率が情報公表の必須項目になりました。(東京労働局) 常時雇用する労働者100人以下の企業については、女性管理職比率の公表は努力義務です。(東京労働局) ただし、初回公表は施行後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に行います。(千葉労働局|女性活躍推進法について) たとえば3月末決算なら、2027年6月末ごろが初回公表の目安です。(千葉労働局|女性活躍推進法について) そのため、2026年4月1日以降に数字が見つからないという事実だけで、直ちに公表義務を果たしていない会社とは判断できません。企業規模と事業年度を確認したうえで、企業サイトや「女性の活躍推進企業データベース」も確認してみましょう。(厚生労働省・女性活躍推進)
女性管理職比率が高ければ、女性が働きやすい会社ですか?
必ずしもそうとは限りません。女性管理職比率は主に「女性が意思決定層まで進んでいるか」を見る材料です。長く働けるかを知りたい場合は、残業時間、勤続、育休取得、男女間賃金差異なども合わせて確認する必要があります。厚生労働省も、「活躍」と「働きやすさ」の両方の指標を見ることを案内しています。(厚生労働省)
まとめ|女性管理職比率は「数字の高さ」より読み方が大切
女性管理職比率を見つけたら、「何%だから良い会社」とすぐに結論を出す必要はありません。見る順番は、次の3つです。
同業種・近い規模と比べる
女性従業員比率、係長級、過去からの推移を見る
賃金差、勤続、残業、育休なども合わせて確認する
この順番で見ると、女性管理職比率を単なる数字ではなく、「この会社で自分がキャリアを積み続けられるか」を考える材料として使えるようになります。
候補企業があるなら、まず1社だけで構いません。女性管理職比率だけを見るのではなく、同じページにある女性従業員比率や係長級、残業、育休の数字まで横に並べてみてください。一つずつ数字の背景を確認することが、入社後の働き方を考える最初の一歩になります。
参考資料
SUPERVISED BY
akina
MOREARIA 代表 / 編集長
MOREARIA編集長。「やりたいことはあるけど、踏み出せない」女性に向けて、挑戦する人たちのリアルな物語と、自分らしい一歩を考えるきっかけを届けるメディアを運営。マーケティング支援事業や実践型スクール「MOREARIA LAB」も展開している。
Morearia
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