女性の育休明け転職|「申し訳ない」を4つに分けて考える

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女性の育休明け転職|「申し訳ない」を4つに分けて考える

育休を取らせてもらったのに、辞めるなんて——。 その「申し訳ない」は、本当にひとつの感情でしょうか。 4つに分けてみると、調べれば消えるものと、そうでないものが見えてきます。

2026-8-29

女性の育休明け転職|「申し訳ない」を4つに分けて考える

この記事でわかること

  • 育休明けの転職で、制度より先につまずきやすいもの
  • 「申し訳ない」を4つに分けると、何が見えてくるのか
  • 今動くサインと、もう少し待って確かめたいサインの違い
  • 転職を決めないままでも試せる、小さな行動

育休明けの転職を考えたとき、最初に頭に浮かぶのは「保育園はどうなるんだろう」ではなく、「でも、申し訳ないな」のほうかもしれません。育休を取らせてもらったのに。人を補充してもらったのに。そう思うと、調べる手が止まります。

その申し訳なさは、あなたが誠実だから出てくる感情です。消したほうがいいものではありません。ただ、そのまま抱えていると、判断の材料と混ざってしまいます。

この記事では、育休明けの転職で生まれる「申し訳ない」を4つに分けて考えます。結論を出す記事ではなく、あなたが自分で決めるための整理をする記事です。答えを急がずに読んでみてください。

育休明けの転職で、最初に止まるのは制度ではない

「育休明け 転職」と検索する人が実際に書き込んでいる言葉を見ると、制度への疑問と同じくらい、それ以前の感情で止まっている様子が見えてきます。実際に投稿されている声を、3つ紹介します。

  • 01

    「復帰して半年で辞めるのは失礼ですよね」

    ママリに投稿された、育休中で復職を控える方の相談です。半年だけ復職して辞めるか、最初から復職せず転職するかで迷い、返信のなかでも「やっぱり復帰して辞めるのが筋でしょうか」と書かれています。

  • 02

    「復帰しないのは手当もらい逃げみたいで気まずい」

    同じくママリの投稿です。制度上できるかどうかではなく、周囲からどう見えるかが心配で、形式的にでも一度復職すべきか迷っている、という内容でした。

  • 03

    「職場に申し訳ないので復帰しなきゃと思っています」

    Yahoo!知恵袋に投稿された、0歳児を育てながら育休中の方の相談です。体力的に続けられるか不安だと書きながら、復帰する理由として挙げているのは「職場に申し訳ないから」でした。

投稿者の年代や性別は本文から確認できないため、これを「女性全体の声」として扱うことはできません。ただ、同じような声が実際にあることは確かです。

本当の論点が、いつのまにかすり替わる

3つ目の投稿を、もう一度見てみます。この方が抱えているのは、本来「この働き方を、この体力で続けられるか」という問いのはずです。

ところが、実際に口に出ているのは「職場に申し訳ないから復帰しなきゃ」。判断の軸が、自分の生活の話から、会社への感情の話へ移っています。

これは意志が弱いからではありません。申し訳なさは強い感情なので、他の問いより先に前へ出てきてしまうのです。だから、まず分けます。

迷っているのは、あなただけではない

数字でも確認しておきます。マイナビ転職が2025年2月に実施した「育児離職と育休の男女差実態調査(2025)」では、育休経験のある女性300人のうち、育児との兼ね合いが原因で転職を検討したことがある人が18.3%、実際に転職した人が7.7%でした(複数回答)。

また同じ調査で、育休を12か月以上18か月未満取得した女性74人に復職時に感じたことを聞いた設問では、「子どもの体調不良による休みや早退で、周りに迷惑をかけるのではという不安」が50.0%でした。

ただし同じ設問には、「仕事についていけるか」「求められるだけの働きができるか」といった自分の力量に関する不安も並んでいます。ですから、不安の中心が必ず周囲への影響にあるとまでは言えません。

それでも確かなのは、「周りに迷惑をかけるのでは」という気持ちを抱えたまま復職に向かう人が、一定数いるということです。あなたが感じている申し訳なさも、その延長線上にあるのかもしれません。

「申し訳ない」を4つに分けてみる

ここからが本題です。ひとかたまりで感じている「申し訳ない」を、性質の違う4つに分けます。分けかた自体は編集部の整理ですが、それぞれの中身は確認できる事実に対応しています。

  • 01

    法律上、してはいけないことなのか

    育児休業を取得したあと、一定期間必ず勤務しなければならないという法律上の定めはありません。また厚生労働省のQ&Aでは、育児休業給付の受給資格確認時点で退職が予定されていた場合を除き、それまで受給した給付を返金する必要はないとされています。ここは、事実として確認できます。

  • 02

    会社との約束に反しているのか

    確認するのは就業規則と雇用契約書です。退職の申し出期限、復職後の手当や研修費の扱いなど、明文化された根拠があれば、それが約束です。どこにも見当たらない場合は、慣習や周囲の期待である可能性があります。

  • 03

    同僚に実際の負担が発生するのか

    ここは事実として存在します。引き継ぎ、人員配置、繁忙期。ただし、これは「辞めるかどうか」ではなく「どう辞めるか」で変わる部分です。時期をずらす、引き継ぎ資料を残す、といった形で減らせます。

  • 04

    自分が「こうあるべき」と思っているだけなのか

    「育休を取ったなら3年は働くべき」「一度は復職するのが筋」。こうした基準は、どこにも明文化されていないことがほとんどです。誰かに言われたのか、自分で決めたのか。そこを見分けます。

HINT

4つのうち、どれが一番重いか書き出してみる

今あなたが感じている申し訳なさは、01から04のどこにありますか。ひとつだけとは限りません。紙に書き出したとき、どれが一番濃く書けるでしょうか。

分けると、やることが変わる

4つに分ける意味は、それぞれで次にやることが違うからです。

  • 01が重い場合:調べれば終わります。事実を確認すれば、感情の根拠がなくなります

  • 02が重い場合:就業規則と雇用契約書を読みます。根拠が見当たらなければ、慣習かもしれません

  • 03が重い場合:辞めるかどうかではなく、辞め方を設計する話になります

  • 04が重い場合:ここだけは調べても解決しません。時間をかけて向き合う部分です

01と02は、書類を読めば確かめられます。03も、引き継ぎの見通しを立てれば形が見えてきます。会社や自治体への確認に時間がかかることはありますが、いずれも「調べれば具体化する」領域です。

そして、調べても輪郭が変わらないのが04です。ここが、本当にあなたが考えるべきことになります。

「申し訳ないから残る」ではなく、「04について考えた結果、残る」なら、それは立派な判断です。逆も同じです。

「今動く」と「もう少し待つ」を、条件で分ける

申し訳なさを整理できたら、次はタイミングです。ここも気持ちではなく、条件で分けます。どちらが正しいということはありません。ただ、判断に必要な材料が揃っているかどうかは、はっきり分かれます。

今動くサインと、待って確かめたいサイン

まず、材料がすでに揃っているサインです。

  • 実際に復職して働いてみた結果、送迎が物理的に成立しないと分かった

  • 現職で使える制度を人事に確認したうえで、それでは解決しないと分かった

  • 配偶者や家族との分担を見直しても、まだ足りないと分かった

  • 社内異動や勤務時間の変更を相談したが、実現の見込みがないと言われた

共通しているのは、すべて「試したうえで分かった」という形になっている点です。次に、まだ材料が揃っていないサインです。

  • まだ復職しておらず、実際の通勤時間や生活リズムが分からない

  • 現職の制度を人事に確認していない

  • 配偶者と、曜日ごとの送迎や発熱時の対応を決めていない

  • 求人を一件も見ていないので、条件の相場が分からない

後者に当てはまるものが多い場合、今の迷いは「転職すべきかどうか」ではなく、「情報が足りない」状態かもしれません。制度の期限や評価がどう扱われるかは、時短勤務のキャリア不安を6つの項目で整理した記事も参考になります。

待つことにも、コストがある

ここは見落とされやすい部分です。「もう少し様子を見よう」は安全な選択に見えますが、待つことにも失うものがあります。

たとえば、第二子を考えている場合。転職先で育児休業を取れるかどうかは、労使協定に「継続雇用1年未満は対象外」という規定があるかで変わります。動く時期によっては、次の出産と入社1年目が重なることもあります。

ただし、実際に取得できるかどうかは、転職先の労使協定の内容と、育児休業を開始する時点での勤続期間によって決まります。「転職したら1年間は必ず取れない」という意味ではありません。

また、保育園の認定を「就労」のまま維持して動けるのは、在職している間です。退職すると「求職活動」への切り替えが必要になり、その期間には上限があります。国の基準は90日を限度として市町村が定める期間とされており、実際の日数は自治体ごとに違います。

退職した瞬間に退園になるわけではありません。ただ、期限のついた状態にはなります。時間があるように見えて、実は在職中のほうが動きやすい、ということもあります。

逆に、今すぐ動くことにもコストはあります。新しい職場への適応、保育園の慣らし、子どもの発熱、転職活動そのもの。これらが復職直後の疲れと重なります。

大事なのは、どちらか一方だけを見て決めないことです。「動くコスト」と「待つコスト」を、両方書き出してから比べてみてください。退職日の決め方そのものについては、退職日を「何月」ではなく「何日」で決める手順の記事で整理しています。

決めなくても、試せることがある

「転職する」か「しない」かを、今日決める必要はありません。決めないまま試せることが、いくつもあります。

  • 人事に、3歳以降に使える制度を聞いてみる

  • 住んでいる市区町村の窓口に、退職した場合の保育園の扱いを聞いてみる

  • 求人を10件だけ保存して、条件の相場を見る

  • 配偶者と、1週間だけ送迎を分担してみる

どれも、転職を決めた人にしかできないことではありません。そして、どれかひとつをやるだけで、迷いの形が変わります。

ここでひとつ、想定ケースを挙げます。以下は実在の人物ではなく、判断の進み方を示すために編集部が組み立てた例です。

Bさんは復職して3か月目に、転職を考えはじめました。けれど「育休を取っておいて」という気持ちが強く、求人サイトを開いては閉じる日が続きます。

そこでBさんは、決めるのをいったんやめて、就業規則を読んでみました。復職後の勤務期間についての規定はなく、退職の申し出は1か月前と書かれているだけでした。研修費の返還規定もありません。

次に人事に、3歳以降にどんな制度があるかを聞きました。答えは「短時間勤務と始業時刻の変更」。テレワークはなし。通勤に片道50分かかるBさんにとって、これは解決になりません。

2つを確かめただけで、Bさんの申し訳なさは消えませんでした。ただ、その正体が「04・自分がそう思っているだけ」だと分かりました。会社との約束を破るわけでも、法律に反するわけでもない。残ったのは、自分の中の基準だけです。

Bさんはそこから、あと3か月だけ働いてみて判断する、と決めました。転職するとも、しないとも決めていません。けれど、迷い方は変わりました。

なお、転職先を見るときに求人票の「制度あり」をどこまで信じるかは、「制度あり」を3段階で確かめる手順の記事で詳しく扱っています。

MOREARIAでは、迷いながら働き方を選び直してきた女性たちのインタビューを掲載しています。すっきり決断できた人ばかりではありません。揺れたまま進んだ人の物語のほうが、あなたのヒントになることもあります。

挑戦する人たちの物語を読む

育休明けの転職に関するよくある質問

「申し訳なさ」の周辺で寄せられることの多い疑問を、3つ取り上げます。

復職してから何か月働けば、失礼にあたらないのでしょうか?

法律にも、全国共通の基準にも、そうした定めはありません。目安になるのは、勤務先の就業規則に書かれた退職の申し出期限です。「半年は働くべき」「1年は必要」といった数字は、どこかで見聞きした慣習であることが多く、明文化されているとは限りません。まずは就業規則を確認してみてください。

育休中に退職すると、受け取った給付金を返すことになりますか?

厚生労働省の「Q&A~育児休業等給付~」では、育児休業給付の受給資格確認時点で退職が予定されていた場合を除き、それまで受給した育児休業給付を返金する必要はないとされています(Q&A~育児休業等給付~)。育休に入ったあとで事情が変わった場合は、これにあたりません。ただし個別の事情によって扱いが異なることもあるため、心配な場合はハローワークに確認してください。

転職しないと決めた場合、この迷いはどうすればいいですか?

残ると決めた場合も、現職で使える制度を確認する価値はあります。2025年10月1日からは、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者について、事業主は5つの措置から2つ以上を用意することが義務づけられました。会社が何を導入しているかによって、働き方の選択肢が変わる可能性があります。

まとめ|分けてみると、決めやすくなる

育休明けの転職で動けなくなるのは、感情と事実がひとかたまりになっているからかもしれません。分けてしまえば、それぞれに対処法があります。最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。

  • 「申し訳ない」は、法律・会社との約束・同僚の負担・自分の基準の4つに分けられる

  • 前の3つは調べれば具体化する。残った4つ目が、本当に考えるべきこと

  • 「今動く」か「待つ」かは、材料が揃っているかどうかで分ける

  • 待つことにもコストがある。両方を書き出してから比べる

今日できることがあるとすれば、転職するかどうかを決めることではありません。就業規則を開いて、退職の申し出期限が何日前と書かれているかを見るだけでも十分です。事実がひとつ増えるたびに、迷いは少しずつ形を変えていきます。あなたの歩幅で進む一歩を、応援しています。

参考資料

  • 株式会社マイナビ「育児離職と育休の男女差実態調査(2025)」(2025年5月)
  • 厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」
  • 厚生労働省「育児休業制度特設サイト」

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akina

MOREARIA 代表 / 編集長

MOREARIA編集長。「やりたいことはあるけど、踏み出せない」女性に向けて、挑戦する人たちのリアルな物語と、自分らしい一歩を考えるきっかけを届けるメディアを運営。マーケティング支援事業や実践型スクール「MOREARIA LAB」も展開している。

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