この記事でわかること
- 月3万円という目標が、どのように決まっているのか
- 月3万円から月5万円に上げると、増える時間はどれくらいか
- 追加の1万円を「時間」で判断するという考え方
- 月3万円で止めるという選択が、あきらめではない理由
副業を調べていると、目標額はいつのまにか上がっていきます。月3万円のつもりだったのに、月5万円、月10万円という記事を読むうちに、自分の目標が小さく思えてくる。そんな感覚になったことはありませんか。
けれど、月3万円という金額を選んだことには、たいてい理由があります。それは目標が低いのではなく、あなたの生活の中で成り立つ範囲を、すでに測ったあとの数字なのかもしれません。
この記事では、金額を上げる方法ではなく、金額を決める考え方をお伝えします。読み終える頃には、次の1万円を取りにいくのか、いまの3万円を守るのかを、自分の言葉で選べるようになっているはずです。
月3万円という目標は、どうやって決まるのか
月3万円は、中途半端な金額に見えるかもしれません。生活が変わるほどではなく、けれど小さくもない。
ただ、この金額が選ばれる背景には、いくつかのパターンがあります。実際の声と公表資料をもとに、編集部で3つに整理しました。統計としてこの3つが多いと確認されたものではありません。
- 01
目標ではなく、いま足りない額として決まる
もっと稼ぎたいという願望からではなく、支出が増えた、備えを作りたいといった具体的な事情から、金額が先に決まることがあります。
- 02
生活のかたちを変えずに収まりやすい
本業や家のことを動かさずに確保できる時間の中で、なんとか届きそうな範囲。その感覚から逆算された金額であることが少なくありません。
- 03
自分の実質的な時給を測るのに、ちょうどいい
一度3万円に届けば、何時間かかったのかが分かります。次の判断に必要な材料が、この金額で手に入ります。
「あと3万円」は、願望ではなく不足額のことがある
Yahoo!知恵袋に、20代後半の女性の投稿があります。地方で非正規として働いていて、勤務時間や人間関係には満足している。けれどまとまった支出が生じ、毎月3万円を捻出しなければならなくなった。
いまの働き方を手放して転職するか、副業をするか。そう迷っている内容でした。
ここにあるのは、収入を最大化したいという発想ではありません。いまの生活を維持したまま、ちょうど3万円だけ足したいという、きわめて具体的な必要です。
この立ち位置から見ると、「月5万円を目指しましょう」という提案は、少しずれて聞こえます。5万円が必要なわけではないからです。
副業時給の中央値で試算すると、月3万円は約14.4時間
パーソル総合研究所が2025年に行った調査によると、副業をしている20代から50代の正社員が副業に使っている時間は、1か月あたり平均23.0時間でした。この設問の対象は1,899人です。
同じ調査では、副業の時給も算出されています。中央値は2,083円でした。これは求人票に書かれた時給ではなく、副業の月収を月間の活動時間で割って出された数値です。
この中央値を使うと、月3万円に必要な時間は約14.4時間になります。これは公表資料をもとに編集部が試算した目安であり、調査が示した数値ではありません。
この試算値は、調査で示された平均活動時間23.0時間を下回ります。ただし、時給は中央値、活動時間は平均値と、種類の異なる統計を並べた比較です。「時給が中央値の方が23.0時間働いている」という意味ではありません。
もうひとつ、この中央値はすでに副業を続けている正社員のものです。始めたばかりの時期は、案件を探す時間も慣れない作業の時間もかかるため、実際にはもっと時間が必要になる可能性があります。
3万円から5万円へ上げるとき、増えるのは金額だけではない
「3万円に届いたから、次は5万円」。この流れは自然に見えます。実際、副業の記事の多くは3万円を通過点として扱っています。
けれど、増えるのは収入だけではありません。同時に増えるものを、先に見ておきます。
追加の2万円に、月およそ10時間
先ほどの中央値2,083円で計算すると、月5万円に必要な時間は約24.0時間です。3万円のときが約14.4時間なので、差はおよそ9.6時間になります。
| 月の副業収入 | 必要な時間(試算) | 週あたりの目安 |
|---|---|---|
| 3万円 | 約14.4時間 | 約3.3時間 |
| 5万円 | 約24.0時間 | 約5.5時間 |
| 差 | 約9.6時間 | 約2.2時間 |
いずれも編集部が試算した目安です。1か月を約4.3週として計算しています。
週に2時間ほど。数字だけ見れば、そこまで大きくないように思えるかもしれません。ただしこの2時間は、いまの生活のどこかから持ってくることになります。
もうひとつ気づくことがあります。月5万円に必要な約24.0時間は、副業をしている方の平均活動時間23.0時間とほぼ同じです。つまり5万円は、続けている方たちの平均的な時間の使い方に並ぶ水準ということになります。
ただし、平均に並ぶことは、無理のない範囲であることを意味しません。同じ調査では、副業によって過重労働となり仕事に支障をきたした、あるいは体調を崩したと答えた方が26.9%にのぼり、調査開始以降もっとも高い水準となっています。対象は副業をしている1,899人です。
平均に近い時間だからといって、負担の少ない働き方とは限りません。過重労働の背景には、本業の残業時間や通勤、家のことなど、副業以外の要素も関わります。
だからこそ、金額を上げるかどうかは、副業の時間だけを見て決められません。本業や生活を含めた自分の時間全体の中で判断する必要があります。
単価を下げて件数で埋めると、1時間あたりは減っていく
2万円を足すとき、いまと同じ条件の仕事が都合よく増えるとは限りません。単価の低い案件で埋めることもあります。
たとえば、実質時給2,083円の仕事で3万円(約14.4時間)を作っている方が、実質時給1,000円の仕事を20時間足して5万円にしたとします。合計は約34.4時間。全体でならすと、1時間あたりは約1,450円まで下がります。
収入は2万円増えましたが、追加した20時間だけを見れば、1時間あたり1,000円で働いたことになります。この20時間を何と交換したのかは、金額の合計だけを見ていると分かりません。
判断の材料になるのは、月の合計金額ではなく、増えた分にかかった時間のほうです。編集部の整理として、次の3つを確かめることをおすすめします。
- 01
追加分だけの実質時給を出す
全体でならさず、増やした収入を増やした時間で割ります。ここが下がっているなら、上げ方を変える余地があります。
- 02
その時間を、何から持ってくるかを決める
睡眠、家族との時間、休息、本業の余力。どこから出すのかを先に決めていないと、いちばん削りやすいところから減っていきます。
- 03
手元に残る額で考える
経費や税の扱いによって、増えた収入がそのまま手取りになるとは限りません。年間の見込みで確認します。
HINT
追加の1万円と交換するものを、書き出してみる
もし来月から副業の収入を1万円増やすとしたら、その時間はどこから出しますか。そして、その1万円は、差し出した時間に見合うものでしょうか。
金額が上がると、確認する制度も増える
月3万円なら年間36万円、月5万円なら年間60万円です。金額が上がるほど、税や扶養の確認事項も増えていきます。
国税庁は、給与を1か所から受けている会社員について、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超える場合に、原則として確定申告が必要としています。ここでいう20万円は、売上ではなく必要経費を差し引いたあとの所得です。
扶養の範囲内で働いている場合は、本業の収入と合わせた年間の見込みで考える必要があります。税金の扶養と社会保険の扶養は別の制度で、基準も異なります。
手続きや条件の詳しい整理は、副業の確定申告を順を追って説明した記事にまとめています。ここで確かめたいのは、金額を上げる判断のときに、この確認まで含めて考えているかどうかです。
月3万円で止めるという選択
副業の記事で、あまり語られないことがあります。それは、増やさないという判断です。
3万円に届いたあとの選択肢は、5万円を目指すことだけではありません。
止めることは、あきらめることではない
もともとの目的が「毎月3万円を足すこと」だったなら、3万円が安定した時点で、その目的は果たされています。
そこから先へ進むかどうかは、別の話です。目的が達成されたあとも走り続けるのは、達成ではなく惰性になっていることがあります。
止めると決めたなら、その分の時間は自分のものとして残ります。休むことも、本業に集中することも、家族と過ごすことも、その時間の使い道です。
止めると決めたら、守るものを書いておく
ただし、なんとなく止めるのと、決めて止めるのとでは、あとの気持ちが変わります。SNSで月10万円という投稿を見たとき、決めていない方ほど揺れやすくなります。
紙に3行書いておくだけで十分です。
いまの3万円は、何のための3万円か
これ以上増やすとしたら、どこの時間を使うか
その時間を使ってでも、増やしたいと思えるか
3つ目に「いいえ」と答えられるなら、それが答えです。増やさないという判断は、条件を確かめたうえで選んだのであれば、増やすことと同じだけ積極的な選択です。
そして、いつでも変えて構いません。生活が変われば、必要な金額も変わります。いま止めると決めることは、この先ずっと止めることを意味しません。
何を始めるかを決める前の考え方は、女性が副業を何から始めるかを整理した記事でも扱っています。また、売上と手元に残る額と時間を分けて考える視点は、ハンドメイド副業で「売れた」の中身を分けて考える記事が参考になります。
MOREARIAでは、自分の歩幅で働き方を選んできた女性たちのインタビューを掲載しています。収入を伸ばし続けた話だけではなく、途中で立ち止まって決め直した時期を含んだ物語のほうが、あなたの判断のヒントになるはずです。
副業の月3万円という目標に関するよくある質問
目標額を決めるときに出てきやすい疑問を、3つ整理しました。
副業の目標が月3万円では低すぎますか?
金額の大小に、決まった基準はありません。判断の軸になるのは、その金額が何のために必要かです。支出の不足を埋めるための3万円であれば、3万円で目的は果たされます。他の方の金額と比べるのではなく、自分が何に使う予定なのかを先に決めておくと、迷いにくくなります。
月3万円から5万円に上げるには、どれくらい時間が増えますか?
実質時給によって変わります。2025年の調査で示された副業の時給の中央値2,083円で編集部が試算すると、月3万円は約14.4時間、月5万円は約24.0時間で、差は約9.6時間です。週あたりでは約2.2時間になります。ただしこれは続けている方の中央値をもとにした目安で、実際の必要時間は仕事の内容によって変わります。
月3万円で止めたら、それまでの努力が無駄になりませんか?
無駄にはなりません。一度3万円に届いた経験からは、自分がどれくらいの時間で、どれくらい稼げるのかという材料が残ります。この材料は、今後もし金額を増やしたくなったときにそのまま使えます。止めることと、経験を失うことは別のことです。
まとめ|金額ではなく、交換するものを見て決める
副業の目標額に正解はなく、あるのは、その金額と何を交換しているのかという事実だけです。最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。
月3万円は、願望ではなく具体的な不足額として決まることがある
3万円から5万円へは、試算で月およそ9.6時間の追加が必要になる
判断の材料は月の合計額ではなく、増えた分にかかった時間
条件を確かめたうえで止めると決めるのも、積極的な選択のひとつ
今日できるのは、紙に1行書くことだけです。いまの、あるいはこれからの3万円は、何のための3万円ですか。
その1行があれば、次に「もっと稼げます」という言葉に出会ったとき、自分の答えを持っていられます。
今日、その1行を書いてみる。それだけでも、あなたの世界を確実に広げる前進です。あなたの心地よい一歩を、応援しています。
参考資料
- パーソル総合研究所「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」(2025年10月28日)
- 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
SUPERVISED BY
akina
MOREARIA 代表 / 編集長
MOREARIA編集長。「やりたいことはあるけど、踏み出せない」女性に向けて、挑戦する人たちのリアルな物語と、自分らしい一歩を考えるきっかけを届けるメディアを運営。マーケティング支援事業や実践型スクール「MOREARIA LAB」も展開している。
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