この記事でわかること
- 「何を学べばいいか分からない」と感じてしまう3つの理由
- 学ぶ分野を決める前に整理したい4つのこと
- 時間が取れないときの考え方
- お金をかけずに試す3つの方法
リスキリングという言葉を見るたびに、焦る気持ちだけが増えていく。何かを学んだほうがいいのは分かる。でも、何を選べばいいのかが分からない。そんな状態が続いていませんか?
決められないのは、意志が弱いからではありません。選択肢が多すぎるうえに、選ぶための基準が示されていないからです。
この記事では、分野を決める前に整理しておきたい4つのことを一緒に見ていきます。整理した結果「いまは学ばない」でも構いません。判断できる状態になることが目的です。
「何を学べばいいか分からない」3つの理由
まず、何があなたを止めているのかを確認します。多くの場合、能力ではなく、判断の材料が足りていないだけです。
選択肢が多すぎて、比べきれないから
AI、データ分析、Webデザイン、簿記、語学。どれも「これからの時代に必要」と紹介されています。それぞれの説明を読むほど、どれも必要に思えてきます。
比較しようとしても、比べる軸がありません。学習時間も、費用も、仕事への活き方も、記事によって書かれていることが違う。この状態で選ぼうとすると、決められないのが自然です。
もうひとつ、比べる軸が定まらない理由があります。それは、同じ「Webデザイン」でも、講座によって想定している到達点がまったく違うことです。趣味の範囲で作れるようになるものと、仕事として受注できる水準を目指すものでは、必要な時間も費用も大きく変わります。
分野の名前だけで比べようとすると、この違いが見えません。決められないのは、当然のことなのです。
学んだ先が想像できないから
もうひとつは、出口が見えないことです。学んだあと、実際に何が変わるのか。転職するのか、いまの職場で使うのか、副業にするのか。ここが曖昧なまま始めると、途中で目的を見失います。
「とりあえず何か学んでおく」が続かないのは、意志の問題ではありません。何のために時間を使っているのかが分からなくなるからです。
失敗したくない気持ちが強いから
3つ目は、選び間違えることへの不安です。お金も時間も限られているのだから、無駄にしたくない。その気持ちは当然のものです。
ただ、この慎重さが強すぎると、決めること自体が先延ばしになります。そして時間だけが過ぎていく。ここでほどきたいのは、「一度決めたらやり直せない」という思い込みのほうです。
逆に言えば、やり直しはききます。3か月学んでみて合わなければ、そこで得た「自分はこれが苦手だった」という情報は残ります。次に選ぶときの材料が増えた状態です。無駄になったわけではありません。
数字で見る、あなただけではないということ
決められずにいるのは、あなただけではありません。データを見ておきましょう。
厚生労働省の「令和6年度能力開発基本調査」によると、自己啓発を実施した労働者の割合は36.8%でした。この調査は、常用労働者30人以上の企業と事業所、そこで働く労働者を対象にしています。
男女別では、男性が41.9%、女性が30.7%。会社が実施する研修であるOFF-JTの受講率でも、男性43.9%に対して女性は28.8%でした。
さらに雇用形態別に見ると、正社員が45.3%、正社員以外が15.8%と、約3倍の開きがあります。
この差を、意欲の差だけで説明することはできません。研修の機会が回ってきにくい立場にいること、仕事と家庭の両方を担っていること、就いている職種の違いなど、複数の要因が重なった結果だと考えられます。
つまり、学び直しに踏み出せていない方のほうが、いまはまだ多数派です。焦る必要はありません。
決める前に整理したい4つのこと
ここから、分野を選ぶ前に整理したいことを見ていきます。順番に考えると、選択肢が自然に絞られます。
- 01
何のために学ぶのか
収入を増やすのか、いまの仕事を楽にするのか、転職の選択肢を増やすのか。狙いは、目的が違えば選ぶ分野も変わると気づくことです。
- 02
いつまでに、何を変えたいのか
3か月後なのか、3年後なのか。狙いは、期限によって現実的な選択肢が変わることを知ることです。
- 03
週に何時間使えるのか
調子の良い日ではなく、普通の週に確保できる時間を数えます。狙いは、続かない量を選ばないことです。
- 04
いくらまでかけられるのか
上限を先に決めます。狙いは、高額な講座の説明を聞いてから判断する状況を避けることです。
この4つを紙に書き出すだけで、選択肢はかなり絞られます。たとえば「週2時間しか取れない」なら、独学に時間のかかる分野は候補から外れます。「3か月で変化がほしい」なら、いまの仕事で使えるものを選ぶことになります。
順番も大切です。1番の目的が曖昧なまま3番の時間を考えても、答えは出ません。まず何のためかを決めてから、現実的な範囲を確認してください。
HINT
整理する前に、ひとつ問いかけてみる
もし学ぶ時間もお金も十分にあったとして、あなたは何を学びたいですか?その答えが浮かばないときは、学ぶ分野より先に、いまの働き方の何を変えたいのかを考えるほうが早いかもしれません。
時間が取れないときの考え方
4つ整理したうち、多くの方がつまずくのが3番目の時間です。ここは現実的に考えます。
まず前提として、週に5時間確保できなくても、学び直しは進みます。1日15分でも、3か月続ければ20時間を超えます。まとまった時間が取れないことは、始められない理由にはなりません。
大切なのは、時間の量より、途切れないことです。週末に3時間まとめて取るより、平日に15分ずつのほうが続きます。前回の内容を思い出す手間が減るためです。
すき間時間の使い方も工夫できます。通勤中に音声で聞く、家事をしながら動画を流す、昼休みに5分だけ読む。机に向かう時間だけが学習ではありません。
それでも時間が足りない場合は、家族との役割分担を見直す選択肢もあります。「学びたいから、この時間だけは作業に使いたい」と具体的に伝えるほうが、漠然と協力を求めるより通りやすくなります。
なお、まとまった期間が必要な場合は、2025年10月に創設された教育訓練休暇給付金という制度もあります。勤務先に教育訓練休暇の仕組みがあることが前提で、その後の失業給付に影響する場合もあるため、利用する際はハローワークで確認してください。
「意味がない」と感じるとき
学び始めてから、これは意味があるのだろうかと感じることがあります。ここも先に知っておいてください。
意味が見えなくなる原因は、たいてい2つです。ひとつは、目的があいまいなまま始めたこと。もうひとつは、学んだことを使う場面がないことです。
前者は、先ほどの4つの整理に戻れば解決します。何のために始めたのかを書き出したものがあれば、そこに立ち返れます。
後者は、使う場面を自分で作ることで変わります。学んだ関数をいまの業務で試す、覚えたAIの使い方で議事録を要約してみる。実際に使うと、知識が自分のものになります。
そして、成果を資格名で測らないでください。確認してほしいのは、あなたの仕事の中で何が変わったかです。資料を作る時間が短くなった。前より正確に集計できるようになった。そうした小さな変化のほうが、続ける力になります。
お金をかけずに試す3つの方法
整理した結果、それでも学んでみたいと思えたなら、次の一歩は小さくて構いません。教材も講座も、まだ必要ありません。
まず、無料の学習サイトや動画で、気になる分野に1週間だけ触れてみてください。合わないと感じたら、そこでやめて構いません。1週間で分かることは意外と多いものです。
次に、いまの業務で1回だけ使ってみます。学んだことを、小さくでも実際の仕事で試す。ここで「使えた」と感じられるかどうかが、その分野との相性を教えてくれます。
3つ目は、給付制度の対象講座を検索してみることです。厚生労働省の検索システムで、気になる分野の講座を探します。申し込まなくても構いません。相場と、負担がどれくらい減るのかが見えてきます。
この3つに、お金はかかりません。それでも、講座の説明を聞くより確実に判断材料が増えます。なお、資格の取得を考えている場合は、働きながら資格取得を目指す方法もあわせて読んでみてください。
MOREARIAでは、学び直しやキャリアの選び直しに踏み出した女性たちのインタビューを掲載しています。何を学び、どう時間を作り、その後どう変わったのか。そうしたリアルな経験も、これから少しずつ増やしていきます。華やかな成功談だけではなく、迷いながら進んできた過程が記された物語は、あなたの判断のヒントになるはずです。
女性のリスキリングに関するよくある質問
最後に、寄せられやすい質問にお答えします。
やりたいことが分からないまま学び始めてもいいのでしょうか?
構いません。ただし、期間と金額の上限だけは先に決めておいてください。無料の範囲で1週間試すなど、小さく区切って始めると、合わなかったときに引き返しやすくなります。
学ぶ分野を途中で変えてもいいのでしょうか?
変えて構いません。実際にやってみないと分からないことのほうが多いものです。途中で方向を変えるのは失敗ではなく、判断材料が増えた結果です。
まわりが学んでいるのを見ると焦ります。どうすればいいでしょうか?
焦りは、比べる相手を間違えているときに強くなります。比べるなら、他の方ではなく3か月前の自分にしてください。使える時間も、置かれている状況も、方によって違います。
まとめ|決められないのは、材料が足りないだけ
「何を学べばいいか分からない」のは、判断の材料がそろっていないだけかもしれません。最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。
決められない原因は、選択肢の多さ、出口の見えなさ、失敗したくない気持ちの3つ
整理するのは、目的、期限、使える時間、かけられる金額の4つ
週5時間取れなくても進む。量より、途切れないことのほうが大切
無料で試す、業務で使う、制度を調べる。この3つにお金はかからない
今日できるのは、講座を探すことではありません。あなたがいま、働き方の何を変えたいのか。それを一行だけ書き出してみる。そこから、学ぶ分野は自然に絞られていきます。あなたの歩幅で進む一歩を、応援しています。
SUPERVISED BY
akina
MOREARIA Inc. 代表 / MOREARIA編集長
MOREARIA編集長。「やりたいことはあるけど、踏み出せない」女性に向けて、挑戦する人たちのリアルな物語と、自分らしい一歩を考えるきっかけを届けるメディアを運営。マーケティング支援事業や実践型スクール「MOREARIA LAB」も展開している。
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