パートから正社員へ。転職する前に、女性が今の会社で確認できること

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パートから正社員へ。転職する前に、女性が今の会社で確認できること

パートから正社員へ転職しようと考えている女性へ。応募する前に、いま働いている会社で確認できることがあります。法律で会社に求められている転換の仕組みと、社内で目指すか外に出るかを分ける条件を、厚生労働省の資料をもとに整理しました。

2026-8-23

パートから正社員へ。転職する前に、女性が今の会社で確認できること

この記事でわかること

  • パートから正社員へ転職する前に、いま働いている会社で確認できること
  • 踏み出せない理由が、覚悟ではなく判断材料の不足から来ている可能性
  • 社内で目指すか外に出るかを分ける、感情ではない3つの条件
  • 応募も登録もせずに、今日から始められる3つの確認方法

「正社員になりたい」と思ってから、実際に動き出すまでの時間が、思っていたより長くなっている。求人サイトは開いてみたけれど、応募ボタンまでは進めない。そんな方は、少なくありません。

踏み出せない理由を「勇気がない」で片づけてしまう前に、確かめておきたいことがあります。迷う理由のひとつに、判断材料がまだ揃っていないという状態があるからです。気持ちの問題だと思っていたものが、情報を足すと形を変えることがあります。

この記事では、いま働いている会社で確認できること、社内で目指すのと外に出るのを分ける条件、そして応募を決めなくてもできることを整理します。転職するかどうかを決めるのは、そのあとで十分です。

踏み出せないのは、気持ちの問題ではないかもしれない

正社員を目指したいのに動けない。その理由を、少しだけ分解してみます。

「自分には無理かもしれない」と決めているのは誰か

正社員への応募をためらうとき、頭に浮かんでいるのは多くの場合「落ちたらどうしよう」ではありません。もっと手前の、「そもそも自分は対象なのだろうか」という問いです。

パート経験しかないから書ける職歴がない。もう若くない。ブランクがある。こうした理由は、実際に選考を受けて言われたことではなく、応募する前に自分で下した判断であることがほとんどです。

落ちることと、応募しないことは違います。前者は結果ですが、後者は結果が出る前の推測です。そしてその推測は、たいてい情報が足りない状態で行われています。

厚生労働省の資料に、同じ悩みが書かれている

「自分の会社に正社員になる道があるのかどうか、よく分からない」。この感覚は、あなただけのものではありません。

厚生労働省のパンフレット「パートタイム・有期雇用労働法のあらまし」には、事業主が転換の仕組みを周知していないと、働いている方が「自分の勤め先で正社員転換制度があるか分からない」「過去、正社員になった人はいるが、正社員転換の基準が分からない」といった不満や不安を抱くことが考えられる、と書かれています。

つまりこの分かりにくさは、調べ方が足りないせいではなく、公的資料が想定している状態です。分からないまま止まっているのは、自然なことだということになります。

数字で見ると、いまの位置がわかる

厚生労働省「令和6年就業形態の多様化に関する総合実態調査」(2024年10月1日時点・個人調査の有効回答14,076人)を見ると、パートタイム労働者の希望と制度のあいだに距離があることが分かります。

「今後も会社で働きたい」と答えた方は90.6%で、うち「現在の会社で働きたい」が81.1%。一方で、「いわゆる正社員への転換制度の適用がある」と答えた方は9.3%でした。

いまの会社を離れたいわけではない方が8割いて、正社員への転換制度が自分に適用されていると認識している方は1割に届かない。望みと制度のあいだに、確かに距離があります。ただしこの調査は、なぜ動けないのかを尋ねたものではありません。正社員を希望していない方や、勤務条件の面で選ばない方も含まれています。読み取れるのは、判断材料が行き渡っていない状態があるということまでです。なお、これらはパートタイム労働者全体(男女計)の数値です。

今の会社で目指すか、外に出るか

どちらが正解ということはありません。ただ、分かれ目になる条件はあります。順番に見ていきます。

 今の会社で目指す外に出る
向いている状況仕事内容に不満が少ない/すでに正社員に近い業務正社員の枠がほとんどない/次の機会が分からない・遠い
何が決め手か制度・時期・登用後の条件求人の数と、自分の経験との一致
かかるコスト待つ時間選考を受ける時間と労力
失いにくいもの人間関係・慣れた環境勤務条件を自分で選べる余地

今の会社で目指すほうが合っている場合

次の4つがそろっているほど、まず社内で確認する順序に合理性があります。

  • 会社や仕事内容そのものを変えたいわけではない

  • 社内に転換のルートがある、または過去に転換された方がいる

  • 正社員になった後の勤務条件を受け入れられる

  • 次の機会まで待てる

大事なのは4つめです。待てるかどうかは、期間が分からないと判断できません。次の機会が半年以内なのか、1年以上先なのか。ここを確かめずに「待つ」を選ぶと、決めたのではなく、決めないまま時間が過ぎることになります。

外に出るほうが合っている場合

反対に、次のいずれかに当てはまるなら、外の求人も並行して見ておく理由があります。

  • そもそも正社員の枠がほとんどない

  • 次の募集時期が分からない、またはかなり先

  • 正社員になると、希望しない職務や勤務地になる

  • いまの経験と一致する正社員求人が、外部に複数ある

ここでも判断の軸は感情ではありません。枠があるか、時期が見えるか、条件を受け入れられるか。この3つが確認できないなら、内部にとどまる根拠が弱いということです。

「職場が好きか」だけで決めない

いちばん迷いやすいのが、いまの職場に不満がない場合です。人間関係も悪くない、仕事も慣れている。それなのに正社員になれないのなら、居心地の良さが判断を鈍らせます。

ただ、居心地の良さは「いま」の条件で、正社員になるかどうかは「これから」の条件です。比べる対象がずれています。

比べるべきなのは、制度・時期・登用後の働き方の3点です。この3点を確認して初めて、いまの職場に残る選択と、外に出る選択が同じ土俵に乗ります。好きかどうかは、そのあとに効いてくる要素です。

応募を決めなくても、確かめられること

ここからは、転職すると決めていなくてもできることです。どれも無料で、今日から始められます。

HINT

まず、ひとつだけ確かめてみる

次に挙げる3つのうち、いちばん抵抗が少ないのはどれでしょうか。全部やる必要はありません。ひとつ確かめるだけで、見える範囲は変わります。

勤務先に転換の仕組みがあるかを調べる

パートタイム・有期雇用労働法第13条は、事業主に対し、通常の労働者への転換を推進するための措置を講じることを義務づけています。義務づけられているのは「正社員にすること」ではなく、「転換を推進するための機会や仕組みを整えること」です。

厚生労働省は、その内容を働いている方に周知することを求めており、方法の例として、就業規則への記載、労働条件通知書への記載、事業所内の掲示板、資料の回覧、社内メールやイントラネット、給与袋への同封を挙げています。

つまり、探す場所は決まっています。手元の労働条件通知書や雇用契約書を見直すところから始められます。誰にも言わずにできる確認です。

次の機会と、これまでの実績を聞く

書面で見つからなければ、上司か人事に尋ねます。ここでためらう方が多いのですが、説明を求めたことを理由に不利益な取扱いをすることは、法律で禁じられています。

同法第14条第2項は、本人から求めがあったときに、事業主が第13条の措置を決定するに当たって考慮した事項を説明することを義務づけています。そして同条第3項は、その求めをしたことを理由に、解雇その他不利益な取扱いをすることを禁じています。説明を求めることは、法律が想定している行動です。

聞き方にはコツがあります。「正社員登用制度はありますか」ではなく、「通常の労働者への転換について、当社ではどの方法で対応していますか」。前者は「ありません」で終わりますが、後者は方法を答えてもらう質問です。あわせて、次の機会がいつか、これまでに転換された方がいるかまで聞けると、待つべきかどうかが判断できます。

自分の経験に需要があるかを見る

3つめは、応募せずに求人を見るだけの確認です。

求人サイトで、いまの職種と近い正社員求人を数件開きます。見るのは給与ではなく、「仕事内容」と「必須経験」の欄です。そこに書かれている業務のうち、自分がすでに経験しているものにいくつ印がつくか。それだけを数えます。

印が多くつくなら、あなたの経験には外でも需要があります。少ないなら、どの経験を足せばよいかが具体的に見えます。どちらに転んでも、応募する前に分かる情報です。この段階では、登録も応募も必要ありません。

確かめないままだと、何が残るか

動かないことのリスクを、大げさに語るつもりはありません。確かめなくても、いまの生活は続きます。

ただ、確かめないと分からないままになるものは、はっきりしています。社内に聞かなければ、転換のルートと条件と次の時期は分からないまま。求人を見なければ、自分の経験に需要があるかは分からないまま。職歴を書き出さなければ、パート経験のどこが評価材料になるかは分からないまま。

分からないことが多いほど、判断は「なんとなく無理そう」に寄っていきます。逆に言えば、3つのうちひとつ確かめるだけで、その傾きは少し戻ります。

MOREARIAには、働き方を少しずつ組み替えながら進んできた方たちのインタビューを掲載しています。一足飛びに変えた方は、ほとんどいません。迷いながら決めた誰かの物語は、自分の順番を決める助けになります。

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パートから正社員への転職を迷うときのよくある質問

正社員を目指すかどうかで迷っている方から、よく寄せられる質問を3つ取り上げます。

制度はあると言われましたが、実際に正社員になった方を見たことがありません。どう考えればよいでしょうか?

制度があることと、制度が動いていることは別です。厚生労働省の「パートタイム・有期雇用労働法のあらまし」には、措置を講じてから長期間にわたって転換された実績がない場合については、転換を推進するための措置を講じたとはいえない可能性があり、措置が形骸化していないか検証する必要がある、と書かれています。実績を尋ねること自体が、判断材料になります。

正社員になりたいと伝えたら、周りにどう思われるか気になります。

伝える相手と内容を絞ると、負担は軽くなります。全体に表明する必要はなく、まずは人事または直属の上司に、「転換の方法と応募条件を教えてください」という確認として伝える形で十分です。決意表明ではなく情報の確認なので、答える側も答えやすくなります。

正社員になれる確率のようなデータはありますか?

個人が正社員になれる確率を示した公的なデータはありません。会社の制度や職種、地域によって条件が大きく違うためです。確率を探すよりも、自分の勤務先に転換の仕組みがあるか、次の機会はいつか、という個別の事実を確かめるほうが、判断には役立ちます。

まとめ|決める前に、埋められる情報がある

正社員を目指すかどうかは、いますぐ決めなくて構いません。足りないのが覚悟なのか情報なのかは、情報のほうを埋めてみないと分かりません。最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。

  • 迷う理由のひとつは、判断材料の不足……落ちることと、応募しないことは違う

  • 社内か外かは3点で比べる……制度があるか、次の時期はいつか、登用後の条件を受け入れられるか

  • 応募しなくても確かめられる……書面を見る、聞く、求人を数件開く。どれも今日できる

  • 確かめないと、判断は「なんとなく無理そう」に寄る……ひとつ確かめるだけで傾きは戻る

いちばん抵抗の少ないものを、ひとつだけ選んでみてください。労働条件通知書を開くのでも、求人を3件見るのでも構いません。選べる道が何本あるか分かってから決めるほうが、決めたあとに納得できます。

参考資料

  • 厚生労働省「令和6年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況」(2025年9月26日)
  • 厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法のあらまし」(令和7年8月版)

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akina

MOREARIA 代表 / MOREARIA編集長

MOREARIA編集長。「やりたいことはあるけど、踏み出せない」女性に向けて、挑戦する人たちのリアルな物語と、自分らしい一歩を考えるきっかけを届けるメディアを運営。マーケティング支援事業や実践型スクール「MOREARIA LAB」も展開している。

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