この記事でわかること
- 資格ランキングを何度読んでも決められない、その理由
- 迷いを「目的」「条件」「比較軸」の3つに分けて整理する方法
- 資格を取らないという選択肢も含めて考えるための問い
- 本格的に始める前に、10時間だけ試してみる手順
資格ランキングのページを開いて、上から下まで読んで、タブを閉じる。しばらくしてまた別の記事を開いて、同じことをする。ブックマークだけが増えていく。
もし思い当たるなら、まず知っておいてほしいことがあります。それは、あなたに足りないのは情報ではないということです。何本も読んでいるのだから、情報はもう十分に持っています。
この記事では、資格をおすすめしません。代わりに、あなたが何に迷っているのかを3つに分けて整理します。読み終えたときに、次に調べるべきことがひとつに絞れている状態を目指します。
決められないのは、情報が足りないからではない
結論から言うと、資格を決められない状態は、調べ方の問題ではなく順番の問題です。そして、同じところで止まっている方は、思っているよりずっと多くいます。
まずは、いま自分がどこで止まっているのかを見に行きます。
「まだ調べ足りない」と思ってしまう理由
情報を集めるほど決められなくなるのには、理由があります。集めているのが、比べられない情報だからです。
簿記の学習時間、宅建の合格率、医療事務の求人数。どれも正しい情報ですが、これらを横に並べても答えは出ません。共通のものさしがないからです。ものさしがないまま情報だけが増えると、「まだ判断材料が足りないのかもしれない」と感じます。そしてまた次の記事を開きます。
この状態から抜けるために必要なのは、11本目のランキング記事ではありません。自分の中に、比べるためのものさしを1本作ることです。
同じところで止まっている方は少なくない
厚生労働省の令和6年度「能力開発基本調査」に、この状態を表している数字があります。
自己啓発を行ううえで何らかの問題があると答えた正社員のうち、女性の26.1%が「自分の目指すべきキャリアがわからない」を挙げています。同じ設問で、男性は16.1%でした。さらに、女性の25.5%が「どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない」を挙げています。
つまり、問題を感じている女性正社員のおよそ4人に1人が、何を学べばいいか分からない状態にあるということです。時間やお金の問題より前に、方向が決まらない。ここでつまずいているのは、あなただけではありません。
なお、これは30代に限った数字ではなく、女性の正社員全体の傾向です。あなたの状況をそのまま説明するものではありません。ただ、「決められない自分がおかしいのかもしれない」と感じる必要はない、ということは言えます。
迷いの正体を3つに分ける
「資格が決められない」と一言で言っても、中身は3つに分かれます。どれが止まっているかによって、次にやることがまったく変わります。
自分がどれに当てはまるか、読みながら考えてみてください。ひとつとは限りません。
- 01目的が決まっていない
- 02条件が決まっていない
- 03比較する軸が決まっていない
HINT
読み進める前に、ひとつ書いてみる
いま気になっている資格の名前を、ひとつ思い浮かべてください。その資格が気になる理由を、1行で書けるでしょうか。書けたとしたら、それは「仕事」の話でしょうか、それとも「安心」の話でしょうか。
ひとつ目|目的が決まっていない
「事務職から、次はどこへ行きたいのか」が決まっていない状態です。
このとき資格から選ぼうとすると、簿記と宅建士と医療事務を同じ土俵で比べることになります。行き先が違う電車の時刻表を並べて、どれに乗るか決めようとしているようなものです。決まらないのは当然です。
見分け方はかんたんです。「なぜその資格が気になるのか」を書いてみてください。「経理の仕事に移りたいから」と書けるなら、目的は決まっています。「なんとなく安定しそうだから」しか書けないなら、止まっているのはここです。
このタイプの方が次にやることは、資格を調べることではありません。自分がこれまでやってきた仕事の中で、続けられたことと苦しかったことを書き出すことです。強みの見つけ方を扱った記事が、その手順を細かく説明しています。
ふたつ目|条件が決まっていない
行きたい方向は見えているのに、働き方の条件が決まっていない状態です。
年収はいくら必要か。休日はどうしたいか。通勤時間の上限は。在宅で働きたいのか。この4つが決まっていないと、資格を取った後の求人を見ても、良いのか悪いのか判断できません。
そして条件が決まっていないと、資格選びが「より高いほう、より難しいほう」に引っ張られます。難関資格のほうが良さそうに見えてしまうからです。でも、あなたが必要としているのが年収450万円で残業の少ない働き方なら、そこに到達するために難関資格が必要とは限りません。
このタイプの方は、資格の前に条件を4行書いてください。それだけで、候補は半分になります。
みっつ目|比較する軸が決まっていない
目的も条件も決まっているのに、最後の一歩が決まらない状態です。ここまで来ている方は、あと少しです。
必要なのは、候補を同じ物差しで並べることです。たとえば次の3つで十分です。
- 01その資格が求人票で「必須」と書かれている割合
- 02自分が毎週確保できる時間で割ったときの、必要な週数
- 03取得を終えるまでにかかる総額
ひとつ目は、希望する職種と勤務地で求人を20件ほど開き、その資格が「必須」「歓迎」「記載なし」のどこに書かれているかを数えれば出せます。
この3つを候補ごとに書き出すと、感覚ではなく数字で並びます。数字が並ぶと、感覚だけで比べるより判断しやすくなります。
ここで大切なのは、3つとも自分で調べた数字にすることです。誰かの記事に載っていた「標準学習時間」ではなく、自分の生活で割った週数を使ってください。
資格を取らない、という選択肢も並べてみる
3つのうちどこで止まっているかが見えたら、もうひとつだけ確かめてほしいことがあります。それは、あなたが解決したいことは、本当に資格でしか解決できないのかということです。
これは「資格なんて意味がない」という話ではありません。選択肢を1つしか見ていない状態で選ぶと、後から後悔しやすいという話です。
同じ目的を、別の手段で満たせないか
目的別に、資格以外の手段を並べてみます。
たとえば経理に移りたいなら、資格を取るだけでなく、いまの職場で請求書の処理や経費の管理を引き受けられないかを考えてみる。その経験は職務経歴書に書けます。
収入を上げたいなら、資格の前に、同じ経験で給与水準の高い会社がないかを調べてみる。転職市場では、スキルより先に業界の相場で年収が決まっていることがあります。
ブランクが不安なら、資格でその期間を埋めようとするより、短時間勤務や契約社員で関連する実務を作り直すほうが早いこともあります。
知恵袋には、食や栄養に興味があって資格を取ったものの、就職につながる実感が持てないという30代後半の方の投稿があります。同じような声は実際にあります。興味と、応募したい求人の条件を埋めることは、必ずしも一致しません。
資格がなくてもキャリアを動かせる方法については、資格なしで転職を考える方向けの記事でも詳しく扱っています。
決める前に、10時間だけ試す
それでも決めきれないときは、いきなり数百時間を約束しないという方法があります。MOREARIAでおすすめしているのは、申し込む前に10時間だけ試してみるやり方です。
- 01公式サイトで試験範囲を見る
- 02入門書を1冊、図書館か書店で開く
- 03公開されている過去問や例題を解いてみる
- 04合計10時間だけ勉強する
- 05続けられそうかを判断する
ここで評価するのは「面白いかどうか」ではありません。週に5時間、あと半年続けられそうかどうかです。最初は面白く感じても続かないことがあるので、面白さと続けやすさは分けて見ておくと判断しやすくなります。
10時間やってみて手が止まるなら、それはあなたに向いていなかったのではなく、いまの生活のリズムに合わなかっただけです。別の候補で同じことを試せば済みます。
知恵袋には、宅建、行政書士、社労士、簿記、FPと候補を並べて、どれを選べばいいか決められないという33歳の方の投稿もありました。この方は最終的に、憧れだけで選ばず、コスパや実用性を考えて簿記を先に始めるという判断をしています。順番を変えるだけで、動き出せることがあります。
資格を取らずに収入を上げている方の選択肢を知りたい場合は、資格なしで稼げる仕事をまとめた記事も参考になります。
MOREARIAでは、迷いながら次の一歩を選んできた女性たちのインタビューを掲載しています。すぐに答えが出た方はほとんどいません。迷っていた期間も含めたリアルな物語が、いまのあなたの整理を助けるかもしれません。
30代女性の資格選びに関するよくある質問
最後に、迷っているときによく出てくる疑問をまとめました。
迷っている時間がもったいない気がします。とりあえず何か始めたほうがいいですか?
とりあえず始めるなら、10時間で区切れるものにしてください。数十万円の講座や、年1回しか受けられない試験を「とりあえず」で選ぶと、合わなかったときの損失が大きくなります。
3つのうち複数が当てはまる場合はどうすればいいですか?
上から順に片づけてください。目的が決まらないうちに条件を考えても、基準がないので決まりません。目的、条件、比較軸の順番には意味があります。
結局、資格は取ったほうがいいのでしょうか?
応募したい求人で「必須」と書かれているなら、取る理由があります。「歓迎」「優遇」「資格手当あり」の場合も、未経験から目指す職種なら評価材料になることがあります。どこにも書かれていないなら、いま急ぐ必要はありません。資格は選択肢を増やす道具のひとつであって、持っていないことがマイナスになるわけではありません。
まとめ|決められないのは、あなたの問題ではない
資格ランキングを何度も開いてしまうのは、優柔不断だからではありません。比べるための物差しを持たないまま、比べようとしていただけです。最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。
決められない状態は、情報不足ではなく順番の問題
迷いは「目的」「条件」「比較軸」の3つに分けて、上から片づける
資格以外の手段でも同じ目的を満たせないか、必ず並べて確かめる
本格的に始める前に、10時間だけ試して続けられるかを見る
今日できることは、ひとつだけです。ノートでもスマホのメモでもいいので、「なぜその資格が気になるのか」を1行書いてみてください。書けるか書けないかで、あなたがどこで止まっているのかが分かります。
まだ決まっていなくて大丈夫です。決めるための準備を、あなたの歩幅で進めていきましょう。
SUPERVISED BY
akina
MOREARIA Inc. 代表 / MOREARIA編集長
MOREARIA編集長。「やりたいことはあるけど、踏み出せない」女性に向けて、挑戦する人たちのリアルな物語と、自分らしい一歩を考えるきっかけを届けるメディアを運営。マーケティング支援事業や実践型スクール「MOREARIA LAB」も展開している。
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