この記事でわかること
- 「見つけなきゃ」という気持ちがどこから来るのか
- やりたいことが明確でなくても進める理由
- いまの場所でできる小さな確認
- 動くべきタイミングの見極め方
「やりたいことは何ですか」と聞かれて、言葉に詰まる。周りには目標を持っている方もいるのに、自分には何もない。そんなふうに感じたことはありませんか?
やりたい仕事がわからないという焦りは、やりたいことがないことから来ているのではありません。「見つけなければいけない」という前提から来ています。
この記事では、その前提を一度ほどいてみます。結論として「いまは決めない」でも構いません。焦りの正体が見えると、次にすることが変わります。
「見つけなきゃ」と思ってしまう3つの理由
まず、何があなたを追い立てているのかを整理します。理由が見えると、力の抜き方も見えてきます。
見つけた方の話ばかりが目に入るから
SNSでも記事でも、目にするのは「好きなことを仕事にした方」の話です。転職した、独立した、天職に出会った。
けれど、そうした話が広がりやすいのは、語る内容があるからです。「特にやりたいことはないけれど、なんとなく続けています」という話は、わざわざ発信されません。
つまり、あなたが見ているのは全体の一部です。実際には、やりたい仕事がわからないまま働いている方のほうが多数派です。
選ぶことに、失敗の重さを感じているから
もうひとつは、選択への恐れです。時間もお金も限られているのだから、間違えたくない。その気持ちは自然なものです。
ただ、この慎重さが強くなりすぎると、決めること自体が先延ばしになります。そして「まだ見つかっていない」という状態が続き、焦りだけが積み重なります。
やりたい仕事がわからないこと自体より、ここでほどきたいのは「一度決めたらやり直せない」という思い込みのほうです。
「好きを仕事に」という言葉に縛られているから
3つ目は、言葉の影響です。「好きなことを仕事にしよう」というメッセージは、聞こえはいいものの、当てはまらない方には重くのしかかります。
好きなことが明確にある方は、そう多くありません。そして、好きなことがあっても、それを仕事にすると続かなくなる場合もあります。
好きかどうかは、仕事を選ぶ唯一の基準ではありません。ここを外すだけで、視界が広がることがあります。
やりたいことは、先に決めなくていい
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。
キャリアの分野には、計画的偶発性理論という考え方があります。心理学者のジョン・D・クランボルツが1999年に提唱したもので、キャリアの多くは予測できない偶然の出来事によって形づくられる、という理論です。
大切なのは、その偶然をただ待つのではなく、行動することで引き寄せるという点です。つまり、やりたいことが先に明確でなくても構わない。動きながら見つけていい、という考え方です。
クランボルツは、偶然を引き寄せるために必要な姿勢として、好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心の5つを挙げています。どれも「先に答えを決めておくこと」とは正反対の性質です。
つまり、やりたいことが決まっていない状態は、準備不足ではありません。むしろ、これから入ってくる情報に開かれている状態だと考えることもできます。
もうひとつ知っておきたいのが、キャリアアンカーという概念です。組織心理学者のエドガー・H・シャインが提唱したもので、周囲に流されにくい自分の価値観や欲求を軸にキャリアを選ぶ考え方を指します。
この2つに共通しているのは、やりたい仕事を無理に探すより、何を大事にしたいかを先に見つけるほうが現実的だという視点です。
多くの方は、条件から仕事を選んでいる
事実としても、確認しておきましょう。実際に仕事を変える方の理由は、やりたいことよりも、条件や環境であることがほとんどです。
厚生労働省の「雇用動向調査」で、転職した方が前職を辞めた理由を見ると、労働時間や休日などの労働条件、職場の人間関係、給与といった項目が上位に並びます。年齢によって順位は入れ替わりますが、「やりたいことが見つかったから」が上位に来ることはまれです。
つまり、多くの方はやりたいことを見つけて動いているわけではありません。焦っているのは、あなただけではないということです。
HINT
考える前に、ひとつ問いかけてみる
あなたが焦っているのは、やりたいことがないからでしょうか。それとも、「ないままではいけない」と思っているからでしょうか?この2つは似ていますが、次にすることがまったく違います。
迷いは、停滞ではない
決められない状態を、止まっていると感じているかもしれません。ただ、それは別の見方もできます。
迷いが出るのは、選択肢が見えているからです。何も見えていなければ、迷うことすらありません。つまり、やりたい仕事がわからないまま迷っているのは、比べる材料が集まりはじめている証拠でもあります。
足りないのは、材料ではなく基準です。何を大事にするかが決まっていないから、比べられない。だから決まらない。ここが分かると、やることが変わります。
やりたいことを探すのではなく、譲れないものを決める。この順番のほうが、答えが出やすくなります。
やり直しは、きく
もうひとつ、伝えておきたいことがあります。選んだ道が合わなかったとしても、そこで得たものは残ります。
3か月やってみて合わなければ、「自分はこれが苦手だった」という情報が手に入ります。それは次に選ぶときの材料です。無駄になったわけではありません。
女性の場合、結婚や出産、介護といったライフイベントで働き方が変わることがあります。だからこそ、一度の選択ですべてを決めようとしなくて大丈夫です。その時々で選び直すことを前提にしたほうが、無理がありません。
いまの場所でできる小さな確認
動き出す前に、いまの場所でできることがあります。転職や退職を考える前に、ここを試してみてください。
やりたい仕事がわからないときこそ、まず、いまの仕事の中で苦にならない作業を探します。同じ職場でも、担当している業務の中に、比較的やりやすいものと、消耗するものがあるはずです。
次に、その違いを言葉にします。人と話す量なのか、締め切りの厳しさなのか、成果が見えるかどうかなのか。ここが分かると、次に選ぶときの基準になります。
3つ目は、避けたい条件を書き出すことです。過去に「もう無理だ」と感じた場面を思い出してください。好きなことは曖昧でも、嫌なことは具体的に言えます。
そして、興味のある分野を1つだけ試します。副業でも、社内の別業務でも、短い講座でも構いません。規模は小さくていいので、実際に触れてみると、想像とのずれが分かります。
この4つに、辞める決断は必要ありません。いまの場所にいながら、材料だけを増やせます。
試すうちに「これを学んでみたい」と思える分野が出てきたら、働きながら資格取得を目指す方法が参考になります。やりたいことが決まってから動くのではなく、動いた先で見つかることもあります。
結婚や出産のあとの働き方については、結婚後も働きたい女性の働き方の選択肢でもお伝えしています。
動くべきタイミング
材料が集まってきたら、次は判断です。目安をお伝えします。
ひとつ目は、不満の理由がはっきりしてきたときです。「やりたい仕事がわからない」から「この条件が合わない」に変わったら、比べられる状態になっています。
ふたつ目は、条件だけでなく価値観も合わないと感じるときです。給与や時間の問題なら、交渉や調整で変えられることがあります。ただ、大事にしたいことが職場の方針と食い違っている場合は、その場での解決は難しくなります。
みっつ目は、いまの場所で試せることを試し切ったときです。担当を変えてもらう、働き方を相談する、新しい業務に手を挙げる。こうした選択肢を使い切ったなら、外を見る段階です。
そして、相談しても視界が変わらないときです。上司にも、家族にも、無料のキャリア相談にも話してみた。それでも同じところを回っているなら、環境を変えることで見え方が変わることがあります。
逆に言えば、この4つのどれにも当てはまらないなら、いまは待っていい時期です。焦って動く必要はありません。
MOREARIAでは、迷いながらキャリアを選び直していった女性たちのインタビューを掲載しています。何を基準に選び、どう決めたのか。そうしたリアルな経験も、これから少しずつ増やしていきます。華やかな成功談だけではなく、迷いながら進んできた過程が記された物語は、あなたが判断するときのヒントになるはずです。
やりたい仕事がわからない女性のよくある質問
最後に、寄せられやすい質問にお答えします。
やりたいことがないまま働き続けていいのでしょうか?
構いません。明確な目標を持たないまま働いている方のほうが多数派です。ただし、避けたい条件だけは把握しておいてください。それが分かっていれば、大きく外れた選択を避けられます。
周りと比べて焦ってしまいます。どうすればいいですか?
比べる相手を変えてみてください。他の方ではなく、1年前の自分と比べます。使える時間も、置かれている状況も、方によって違います。同じ土俵で比べると、正確に判断できません。
やりたいことは、いつか見つかるのでしょうか?
見つかることもありますし、明確にならないまま続く場合もあります。ただ、動いているうちに「これは違う」「これは続けられそう」が分かってきます。輪郭は、後からできることのほうが多いものです。
まとめ|見つけなくても、選べます
やりたいことがないことは、問題ではありません。最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。
焦りの正体は、やりたいことのなさではなく「見つけなきゃ」という前提
キャリアの多くは偶然から形づくられる。先に決めておく必要はない
迷いは停滞ではなく、比べる材料が集まりはじめている状態
動く目安は、不満が具体化したとき、価値観が合わないとき、試し切ったとき
今日できるのは、やりたいことを探すことではありません。いまの仕事の中で、比較的苦にならない作業を3つ書き出してみる。そこから、あなたの基準は見えはじめます。あなたの歩幅で進む一歩を、応援しています。
SUPERVISED BY
akina
MOREARIA Inc. 代表 / MOREARIA編集長
MOREARIA編集長。「やりたいことはあるけど、踏み出せない」女性に向けて、挑戦する人たちのリアルな物語と、自分らしい一歩を考えるきっかけを届けるメディアを運営。マーケティング支援事業や実践型スクール「MOREARIA LAB」も展開している。
Morearia
挑戦する女性たちの、隣に。
MOREARIAは、「挑戦する女性たちの次の一歩」に寄り添うウェブメディアです。あなたの一歩が、誰かの次の一歩になるかもしれません。
まずはご相談くださいフォームでのお問い合わせはこちらMOREARIAへの掲載費用はかかりますか?
掲載にあたっては、まずお気軽にお問い合わせください。費用やご協力内容については、個別にご相談のうえご案内しております。
取材やインタビューに興味がありますが、どこから連絡すればいいですか?
お問い合わせページよりご連絡ください。まずはお気軽にご相談いただけます。
記事に登場する方は、どのような方ですか?
キャリアや働き方、起業など、自分らしい選択をしてきた女性を中心にご紹介しています。特別な肩書きや実績よりも、リアルなストーリーを大切にしています。
Follow Us
フォローする














