この記事でわかること
- 転職回数を採用担当者がどう見ているのか、調査データでの実際
- 20代・30代・40代・50代で変わる評価の軸
- 職務経歴書で押さえる4つの要素と、面接での退職理由の伝え方
- 転職回数の多さをカバーできる材料
求人票を開いて、応募ボタンの前で手が止まる。頭に浮かぶのは、自分の職歴の行数です。この回数で、書類は通るんだろうか。
転職回数を数え直したことがある方は、決して少なくありません。そして多くの場合、その不安は具体的な根拠ではなく、どこかで見聞きした「3回まで」という数字への漠然とした記憶からきています。
この記事では、採用担当者を対象にした調査データをもとに、転職回数が実際にどう見られているのかを整理します。そのうえで、職務経歴書と面接で何をどう伝えればいいのかまで、順番にお伝えします。読み終える頃には、数を数える時間が、準備する時間に変わっているはずです。
転職回数が多い女性は不利なのか|採用担当者が実際に見ているもの
結論からお伝えします。転職回数は多くの採用担当者が確認していますが、何回から気になるかの線引きは、担当者によって大きく分かれています。つまり「何回を超えたらアウト」という共通の基準は、存在しません。
マイナビキャリアリサーチLabの「中途採用状況調査2025年版」によると、中途採用担当者の77.6%が、応募者の転職回数を採用の判断材料にすると回答しています。この調査は2024年12月に企業の人事担当者1,500名を対象に行われたもので、男女を分けたものではありません。
一方で、リクルートエージェントが採用担当者へ行った転職回数に関する調査では、「転職回数は気にならない」と答えた割合が37.0%でした。気になり始める回数は、「3回から」が23.9%、「4回から」が13.1%、「5回から」が8.9%、「6回以上から」が2.1%と分かれています。こちらも男女全体を対象とした調査です。
この2つを並べると、実態が見えてきます。転職回数を見ている担当者は多い。けれど、4割近くはそもそも気にしておらず、気にする方の中でも線引きはばらばらです。転職回数は、応募先によって重みが変わる材料だということです。
採用担当者が転職回数を見る理由
そもそも、なぜ回数が確認されるのでしょうか。一般に、採用には募集から入社後の教育まで一定のコストがかかるため、採用側は「入社後に長く働いてもらえるか」を確かめたいと考えます。転職回数は、その手がかりの一つとして見られています。
ここで押さえておきたいのは、採用側が知りたいのは回数そのものではなく、その先にある見通しだということです。回数が多くても、そこに納得できる理由があり、次は続けられる根拠が示されていれば、懸念は解消されます。逆に回数が少なくても、応募先で長く働くイメージが持てなければ、選考は進みません。
つまり回数は、答えではなく質問のきっかけです。「なぜですか」と聞かれる可能性が高い項目である、と捉えておくと準備しやすくなります。
20代は3回が一つの目安になりやすい
年代によって、反応の強さは変わります。前述のマイナビの調査では、20代の採用において「3回以上で採用を躊躇する」と答えた担当者が66.4%にのぼりました。
20代は社会人経験の年数そのものが短いため、同じ3回でも「1社あたりの在籍期間が短い」という読まれ方をしやすくなります。20代で転職回数が重なっている場合は、回数そのものより、なぜその期間で判断したのかを説明できる状態にしておくことが効いてきます。
ただし同じ調査には、続きがあります。当初求めていたレベルや条件に満たない応募者でも「最終的に採用したケースが多かった」と答えた企業が43.7%ありました。条件を完全に満たしていなくても採用されている。これが、採用現場のもう一つの現実です。
30代以降は「回数より中身」に軸が移る
30代以降になると、見られるポイントが変わってきます。採用担当者の調査では、年代が上がるほど「転職回数は選考に影響しない」と答える割合が増える傾向が示されています。
理由はシンプルで、30代以降は即戦力として何ができるかが選考の中心になるためです。回数が3回でも4回でも、その中で職種やスキルが積み上がっていれば、経験の厚みとして読まれます。逆に回数が2回でも、業務内容がばらばらで軸が見えなければ、評価はしづらくなります。
つまり30代以降で問われているのは、転職の回数ではなく、転職を通じて何が積み上がったのかです。
年代別に変わる評価軸|20代から50代までの見られ方
年代ごとに、採用側が何を見ているのかを整理しておきましょう。同じ「転職回数が多い」でも、準備すべきことが変わります。
| 年代 | とくに見られるもの | 回数への反応 | 準備しておきたいこと |
|---|---|---|---|
| 20代 | ポテンシャルと定着の見通し | 3回以上で懸念されやすい | 各社の転職理由に一貫性を持たせる |
| 30代 | 経験の再現性 | 回数より中身に軸が移る | 出した結果を数字で書く |
| 40代 | 専門性と即戦力性 | 領域の累積年数が問われる | 任せられる領域を明確にする |
| 50代 | 職種との適合と組織へのなじみやすさ | 回数以上に柔軟性が見られる | 雇用形態も含め条件を先に決める |
そもそも転職経験の有無は、年代によって大きく異なります。リクルートエージェントが公表している調査では、20代では転職経験がない方が6割以上を占めています。裏を返せば、年代が上がるほど転職を経験している方の割合は増えていきます。
20代で転職回数が気にされやすいのは、この分布が背景にあります。周囲にまだ転職経験者が少ない年代では、複数回の転職が目立って見えるということです。逆に30代以降では、転職していること自体が珍しいことではなくなります。
応募先の面接官自身が転職経験者である可能性も、年代が上がるほど高くなります。転職を「例外的な出来事」として説明する必要はなく、経歴の一部として淡々と話して問題ありません。過度に恐縮した説明は、かえって回数を目立たせてしまうことがあります。
20代・30代で準備しておきたいこと
20代は、1社あたりの在籍期間が短く見えやすい年代です。ここで効いてくるのは、それぞれの転職に理由の一貫性があるかどうかです。「合わなかったから」ではなく、「この経験を積むために動いた」と言える形に整理しておきます。
30代は、経験の再現性が見られる年代です。前職でやってきたことが、応募先でも同じように発揮できるか。ここが伝われば、回数の話は後景に下がります。職務経歴書では、担当した業務そのものより、そこで出した結果を具体的に書くほうが効果的です。
40代・50代で見られていること
40代は、専門性と即戦力性がより強く見られます。これまでの経験の中で、どの領域なら任せられるのかが明確であることが重要です。回数が多いこと自体より、複数の会社を経てその領域の経験年数が積み上がっているかが問われます。
50代では、職種との適合と、組織になじめるかどうかが加わります。これまでの役職や進め方にこだわらず、新しい環境のやり方に合わせられるか。この点は、回数の多さ以上に見られる部分です。
また50代では、正社員だけでなく契約、派遣、パートといった雇用形態も含めて選択肢を広げると、応募先の幅が変わります。働き方の条件を先に決めておくと、応募先とのズレも減ります。年齢や年代と転職の関係については、女性の転職は何歳までなのかを年代別に整理した記事でも詳しくお伝えしています。
転職回数が多くても伝わる書き方と話し方
ここからは実務です。転職回数が多いこと自体は変えられませんが、伝え方は変えられます。ポイントは、採用担当者が知りたい順番で情報を並べることです。
職務経歴書で押さえる4つの要素
各社の記載は、次の4つをそろえると読みやすくなります。
- 01
在籍期間
入社年月と退職年月を正確に。長く在籍した会社があれば、それが安心材料になります。
- 02
担当業務
何を任されていたかを、職種名だけでなく具体的な業務レベルで書きます。
- 03
実績
数字にできるものは数字で。件数、金額、改善した時間など、規模が伝わる形にします。
- 04
退職理由
1行で簡潔に。ここで長く書くと、かえって目立ちます。
たとえば実績の欄なら、「接客業務を担当」ではなく「1日平均40名の接客と、月次の在庫管理を担当。前年比で在庫ロスを2割削減」と書くほうが、任せられる範囲が伝わります。数字が出せない業務でも、担当した人数、期間、範囲を添えるだけで具体性が上がります。
退職理由の欄は、書くかどうかを迷う方が多い部分です。原則として職務経歴書には簡潔に、詳しい説明は面接で、という配分にしておくと読みやすくなります。
そのうえで大切なのが、複数社を貫く軸を一本通すことです。会社は変わっていても、職種が同じ、扱ってきた領域が同じ、身につけてきたスキルが同じ。どれか一つでも共通点があれば、それを職務経歴書の冒頭にまとめて書きます。
たとえば「販売職として3社、そのうち2社で店舗運営とスタッフ育成を担当」と書けば、3回の転職が3つの分断ではなく、一つのキャリアとして読まれます。回数が多い方ほど、この冒頭の要約が効いてきます。
結婚や転居など、ライフイベントが理由の退職は、事実ベースで簡潔に書きます。「配偶者の転勤に伴い退職」「家庭の事情により退職」で十分です。詳しく説明しようとすると、かえって説明的な印象になります。
面接で退職理由を整理する3ステップ
面接では、1社ずつ理由を聞かれることがあります。事前に次の3つを整理しておくと、その場で言葉に詰まりません。
- 01
なぜ辞めたのか
当時の状況を、事実として短く説明します。
- 02
何が合わなかったのか
環境なのか、業務内容なのか、働き方なのか。ここを言語化しておきます。
- 03
次は何を変えたいのか
そのうえで、応募先で実現したいことにつなげます。
1社ずつ整理するときは、長く書かずに各社2〜3文にまとめておくのがコツです。面接の持ち時間は限られているため、5社分を詳しく話そうとすると、肝心の「これから何をしたいか」に時間が残りません。
この3つの中で最も大切なのは、3つ目です。不満で終わる説明と、次に活かしたいことで終わる説明では、聞いた側の印象が変わります。「残業が多くて辞めました」ではなく、「業務量の配分を見直す経験をしたので、次は運用改善に関われる環境で働きたい」という形です。
深く聞かれたときは、話を広げずに同じ3つの構造で答え直すのが有効です。会社ごとに説明のトーンが変わると、一貫性がないと受け取られることがあります。逆に、どの会社の話でも同じ順番で答えられると、整理された印象になります。
なお、転職回数について何も聞かれない面接もあります。その場合は、こちらから長く説明する必要はありません。聞かれたときに答えられる準備をしておく、それで十分です。
ライフイベントが理由の場合は、当時の状況とあわせて、なぜ今は働けるのかをセットで伝えます。保育園が決まった、親の介護体制が整った、転居が落ち着いた。この一言があるだけで、採用側の懸念は大きく減ります。
転職回数の多さをカバーできる材料
回数の印象を和らげてくれる材料を挙げておきます。ひとつでも当てはまれば、それを前面に出してください。
在籍期間が3年以上の会社が1社でもある
同じ職種や業界での累積年数が長い
資格や、数字で示せる成果がある
複数社に共通するスキルの軸がある
どれも当てはまらないと感じた場合でも、諦める必要はありません。複数社で共通して任されてきた作業を思い出してみると、意外な軸が見つかることがあります。後輩の指導、電話やメールの対応、資料の作成。当たり前にやってきたことほど、書き出されないまま埋もれています。
このうち、累積年数はとくに使いやすい材料です。「4社経験」ではなく「経理として通算9年」と書けば、伝わる情報がまったく変わります。回数を隠す必要はありませんが、先に見てほしい情報を前に置くことはできます。
書類が通らないとき、原因を切り分ける
応募が続けて通らないと、原因を転職回数に結びつけて考えてしまいがちです。ただ、書類選考の結果は複数の要素で決まるため、1社や2社の結果だけで判断するのは早いといえます。
切り分けの手がかりは3つあります。ひとつ目は、応募先の求める経験と自分の経験がどれだけ重なっているか。求人票の必須条件を満たしていない応募が続いていれば、原因は回数ではありません。
ふたつ目は、職務経歴書の冒頭で何が伝わるか。先ほどの共通の軸が書かれていないと、読み手は各社の経歴を一つずつ追うことになり、印象が散ります。
みっつ目は、応募している職種の幅です。まったく異なる職種に同時に応募していると、どの経験を売りにしているのかが伝わりにくくなります。応募先を絞ったほうが、通過率が上がることもあります。
この3つを見直しても状況が変わらないときに、初めて回数の伝え方を疑えばいい。順番を間違えないことが、消耗しないコツです。
MOREARIAでは、転職や働き方を選び直してきた女性たちのインタビューを掲載しています。まっすぐ一本道だった方は、ほとんどいません。回り道に見えた経験が次につながっていく、そのリアルな物語が、あなたの職務経歴書を書く手を軽くしてくれるはずです。
転職回数が多い女性の転職に関するよくある質問
ここまでの内容で残りやすい疑問を、3つ整理しました。
転職回数は何回までなら大丈夫ですか?
共通の基準はありません。リクルートエージェントの調査では、採用担当者の37.0%が「転職回数は気にならない」と回答した一方、「3回から気になる」が23.9%と分かれています。応募先によって重みが変わるため、回数そのものより、各社での経験をどう説明できるかを準備するほうが効果的です。
結婚や転居で辞めた場合も、履歴書では自己都合退職になりますか?
一般に、自己都合退職として記載することになります。ただし職務経歴書や面接では、その背景を事実として簡潔に添えることができます。「配偶者の転勤に伴い退職」と書き、面接で現在は継続して働ける状況であることを伝えれば、採用側の受け取り方は変わります。
短い在籍期間の会社は、職務経歴書から省いてもいいですか?
省略はおすすめできません。社会保険の記録などから後で分かることがあり、経歴の不一致は信頼に関わります。省くのではなく、記載は簡潔にとどめ、長く在籍した会社や実績のある経験に紙面を割く形で調整してください。
まとめ|転職回数より、伝わる整理ができているか
転職回数が多いことが、そのまま不利につながるわけではありません。採用担当者の見方は分かれており、年代によって評価の軸も変わります。最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。
採用担当者の37.0%は転職回数を気にしていない。共通の基準は存在しない
20代は3回が一つの目安になりやすく、30代以降は回数より中身が見られる
職務経歴書は在籍期間・担当業務・実績・退職理由をそろえ、共通の軸を冒頭に置く
書類が通らないときは、回数を疑う前に経験の重なりと冒頭の要約を見直す
まずは、これまでの職歴を紙に書き出して、共通している点を1つ見つけてみてください。職種でも、扱ってきた領域でも、身につけたスキルでもかまいません。その1行が、あなたのキャリアをつなぐ軸になります。回数は変えられませんが、見せ方は今日から変えられます。あなたの次の一歩を、応援しています。
SUPERVISED BY
akina
MOREARIA Inc. 代表 / MOREARIA編集長
MOREARIA編集長。「やりたいことはあるけど、踏み出せない」女性に向けて、挑戦する人たちのリアルな物語と、自分らしい一歩を考えるきっかけを届けるメディアを運営。マーケティング支援事業や実践型スクール「MOREARIA LAB」も展開している。
Morearia
挑戦する女性たちの、隣に。
MOREARIAは、「挑戦する女性たちの次の一歩」に寄り添うウェブメディアです。あなたの一歩が、誰かの次の一歩になるかもしれません。
まずはご相談くださいフォームでのお問い合わせはこちらMOREARIAへの掲載費用はかかりますか?
掲載にあたっては、まずお気軽にお問い合わせください。費用やご協力内容については、個別にご相談のうえご案内しております。
取材やインタビューに興味がありますが、どこから連絡すればいいですか?
お問い合わせページよりご連絡ください。まずはお気軽にご相談いただけます。
記事に登場する方は、どのような方ですか?
キャリアや働き方、起業など、自分らしい選択をしてきた女性を中心にご紹介しています。特別な肩書きや実績よりも、リアルなストーリーを大切にしています。
Follow Us
フォローする














