この記事でわかること
- 「自信がついてから動く」を選んだとき、実際に何が起きるか
- 足りないのが情報なのか、現職での消耗なのかを見分けるサイン
- 応募せずに市場を確かめられる、負荷の小さい順の5段階
- 「今は転職しない」を、逃げではなく検証結果として選ぶ条件
「もう少し自信がついたら、転職しよう」。そう決めてから、どれくらい経ったでしょうか。半年、1年、あるいはもっと。
待つこと自体は、悪い判断ではありません。問題は、待っている間に判断材料が増える設計になっているかどうかです。
この記事では、答えを出しません。足りないのが自信なのか情報なのかを切り分けて、今動くか、期限を決めて待つか、動かないかを自分で選べる状態にするところまでを、一緒に整理します。
「自信がついてから」を選ぶと、何が起きるか
まず、時間の側から見てみます。待つという選択をしたとき、その半年や1年のあいだに何が起きているのかを、順に並べてみます。
- 01
決める
「自信がついてから動こう」と考え、今は応募しないことにする。
- 02
待つ
現職を続けながら、転職活動はしない状態が続く。
- 03
変わらない
企業から評価を受ける機会がないまま、時間だけが過ぎる。
- 04
また決める
判断材料が増えていないため、半年後も同じ結論に戻る。
HINT
待ち始めた日を思い出す
「自信がついたら動こう」と最初に思ったのは、いつでしたか。そのときと今とで、増えた判断材料はありますか?
「転職するつもりはない」が、過去最多になっている
日本生産性本部の第18回「働く人の意識調査」(2026年1月実施、雇用者1,100名)では、転職についての考えを尋ねています。「転職をしたいと考えており、現在転職活動をしている」が6.0%、「いずれ転職をしたいと思っている」が27.3%、「転職をするつもりはない」が66.7%。この「するつもりはない」は、調査開始以来もっとも多い数字です。
一方で、転職したいと考えている方は合わせて33.3%います。3人にひとりが考えていて、実際に動いているのは6.0%。考えているのに動いていない状態は、少数派ではありません。なお、この調査は性別ごとの集計を公表していないため、数値は働く方全体のものとして読んでください。
待っている間に、判断材料は増えるか
同じ調査には、気になる集計が2つあります。ひとつは、今後伸ばしたいスキル・能力を尋ねた設問で「特にない」と答えた方が46.6%と、前回から有意に増えていること。もうひとつは、自己啓発について「特に取り組む意向は無い」が67.6%で、調査開始以来もっとも多くなっていることです。
レポート自身が、どんな能力が求められているのかわからない方が増加している可能性に触れています。つまり「何を身につければいいか分からない」状態は、けっこう広く共有されているということです。この状態のまま時間だけ置いても、伸ばす対象が決まりません。
期限のない待機と、期限のある待機
待つこと自体を否定する必要はありません。分けるべきは、次の2つです。
期限のない待機……「自信がついたら」「もう少し落ち着いたら」。終わりの条件が自分の感覚で決まる
期限のある待機……「◯月までに、△△の経験を担当する」。終わりの条件が事実で決まる
前者は、いつ終わったかを自分で判定しにくくなります。感覚は日によって変わるからです。後者なら、担当したかどうかで判定できます。「時間を置く」のではなく、「不足している条件を取得するために期間を置く」。この置き換えができれば、待つことも選択のひとつになります。
足りないのは自信か、情報か
ここが、この記事のいちばん大事な切り分けです。同じ「動けない」でも、原因が違えば手を打つ場所が変わります。
次に挙げるのは、編集部が整理した確認項目です。心理的な状態を判定するものではなく、手を打つ順番を決めるための目安として使ってください。当てはまる数で何かが決まるわけではありません。
情報が足りていないときのサイン
次のうち、当てはまるものがいくつあるでしょうか。
希望職種の求人を、まとめて比較したことがない
求人票の「必須」と「歓迎」の違いを意識したことがない
自分の仕事が、他社で何と呼ばれているか分からない
職務経歴書を、一度も書いたことがない
自分の職歴を、社外の方に見せたことがない
応募したことがないので、企業からの評価を受けていない
多く当てはまるなら、必要なのは自信の回復ではなく情報の収集です。この場合、気持ちを立て直そうとしても手応えは出ません。材料が足りていないからです。
現職で消耗しているときのサイン
一方、こちらに当てはまるなら、原因の置き場所が変わります。
今の職場での評価が、自分を測る唯一の物差しになっている
業務量が多く、求人を見る時間そのものが取れない
現職で指摘された一点を、自分の仕事全体の評価だと感じている
異動や業務変更をしても、辞めたい気持ちが解消していない
この場合、転職活動の進め方を工夫しても解決しません。今の職場での評価と、社外での評価を、いったん切り離して考える必要があります。現職でのしんどさが先に立っている場合の整理は、仕事に自信がないと感じるときの考え方で扱っています。
2つは混ざる。だから順番を決める
実際には、両方が同時に起きていることも少なくありません。消耗しているから調べる余力がなく、調べていないから判断材料が増えず、判断できないからまた消耗する。
このとき、どちらから手をつけるかは決められます。負荷の小さいほうからです。情報を集める作業は、現職を続けたまま、誰にも知られずにできます。次の章で、その段階を分けます。
応募せずに試せる、5つの段階
「応募しましょう」といきなり言われても、動けないのが普通です。応募の手前には、段階があります。
次に挙げる5段階は、行政や研究機関が定めたものではなく、公的サービスの内容をもとに編集部が並べたものです。順序は目安で、どれが負担に感じるかは方によって変わります。書類を書くより人に話すほうが楽な方もいます。並び順どおりに進む必要はありません。
負荷の小さい順に、5段階ある
- 01
求人を10件見る
登録も応募も不要。条件を眺めて、共通点を探すだけ。
- 02
職業データベースで比較する
経験した職業と希望職業の適合度を参照する。ログイン不要。
- 03
ジョブ・カードを作る
自分の経験を、第三者に説明できる形にまとめる。
- 04
無料のキャリア相談を受ける
求人紹介を前提とせず、経験の整理だけを目的にできる。
- 05
応募する
ここで初めて、企業からの評価という強い材料が手に入る。
段階2で使えるのは、厚生労働省が運営する職業情報提供サイトのキャリア分析です。経験した職業を選ぶと、希望する職業との適合度を参照できます。
段階4で使えるのは、厚生労働省の委託事業であるキャリア形成・リスキリング推進事業です。在職している方も対象で、相談は原則60分、対面またはオンライン。この事業では職業紹介を行いません。転職すると決めていなくても使えるというのが、この段階の要点です。
どこまでやったら、判断していいか
以下は行政が定めた基準ではなく、公表資料をもとに編集部が整理したものです。
段階3までを終えると、「経験はあるが言語化できていなかった」のか「経験そのものが不足している」のかを整理しやすくなります。ただし求人票の書き方は企業によって差が大きく、ここで見分けがつく方もいれば、つかない方もいます。この時点で判断がつくなら、段階4・5に進まずに結論を出しても構いません。
逆に、段階3まで来ても自分の評価が定まらないなら、それはひとりで判定できる範囲を超えているというサインです。段階4で第三者の目を入れるか、段階5で企業の反応を見るか、どちらかに進む場面です。自分の強みを挙げるところでつまずく場合は、自分の強みがわからないときの棚卸しの手順をあわせて読んでみてください。
「今は転職しない」も、検証結果のひとつ
調べた結果、動かないという結論になることがあります。これは逃げではありません。
今は動かないほうが合理的な条件
希望する求人で共通して不足している経験が、はっきりしている
その経験を、現職で半年から1年のうちに取得できる見込みがある
転職すると、譲れない条件(収入、勤務時間、通勤など)が大きく悪化する
今の問題が、部署異動や勤務制度の変更で解決する可能性がある
求人を比較した結果、希望していた職種そのものへの関心が下がった
このどれかに当てはまるなら、今は動かないという判断に根拠があります。調べる前の「なんとなく怖い」とは、まったく別のものです。
進めていい条件
必須要件の多くに、対応する経験がある
希望する条件を満たす求人が、複数存在する
実際に応募して、書類選考を通過している
現職では解消できない理由(仕事内容、待遇、働き方)が転職理由になっている
こちらに当てはまるなら、止まっている理由は情報ではありません。進めていい段階です。なお、応募を始めたあとで手応えが出ないときの原因の分け方は、転職がなかなか決まらないときに原因を分ける方法で扱っています。
再測定の日を、先に決める
動かないと決めた場合に、ひとつだけ必ずやることがあります。次にもう一度測る日を、今日決めておくことです。
「半年後の◯月に、もう一度求人を10件見る」。カレンダーに入れておけば、それは期限のない待機ではなくなります。半年のあいだに何を担当したか、何が変わったかを持って、同じ作業をやり直す。そのとき出る答えは、今日とは違うかもしれません。
MOREARIAでは、動くか待つかを自分で決めてきた女性たちのインタビューを掲載しています。正解を選んだ話ではなく、決めるまでの過程を含んだ物語のほうが、自分の判断を考えるときの材料になるはずです。
転職の自信に関するよくある質問
待つか動くかを考えるときに出てきやすい疑問を、3つ挙げておきます。
何年も「自信がついたら」と思い続けています。もう手遅れでしょうか?
手遅れかどうかは、この記事では判定できません。ただ、判断材料が増えていない状態が続いていたのなら、これまでの時間は「準備が足りなかった期間」ではなく、「材料を集める機会がなかった期間」です。今日、求人を10件見るところからでも、材料は増え始めます。
情報も足りないし、現職でも消耗しています。どちらから手をつければいいですか?
負荷の小さいほうからです。情報を集める作業は、現職を続けたまま、誰にも知られずにできます。求人を10件眺めるだけなら、通勤中でも終わります。消耗の解消には環境を変える必要がありますが、情報収集にはその必要がありません。
調べた結果「今は転職しない」となったら、また同じ悩みに戻りませんか?
再測定の日を決めていれば、戻りにくくなります。「なんとなく先送りした」と「◯月に測り直すと決めた」は、同じ半年でも中身が別物です。前者は判断材料が増えませんが、後者は増える設計になっています。
まとめ|足りないものは、切り分けられる
足りないのが自信なのか情報なのかは、感覚に頼らず、手順を追って確かめていけます。最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。
「自信がついてから」は終わりの条件を感覚で決めているため、いつ終わったか判定しにくい
情報不足のサインと現職での消耗のサインは別物。負荷の小さいほうから手をつける
応募の手前に段階を置ける。編集部の整理では5段階あり、段階4までは求人を紹介されない
「今は転職しない」と決めるなら、再測定の日を今日決めておく
この記事は、動くことを勧めるものではありません。動くか動かないかを、自分の感覚ではなく手元の材料で決められる状態にすることが目的でした。
今日できるのは、待ち始めた日を思い出すことだけかもしれません。それでも、いつから待っているかが分かれば、次に測る日を決められます。あなたの心地よい一歩を、応援しています。
参考資料
- 公益財団法人日本生産性本部「第18回 働く人の意識調査」(2026年1月29日)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「キャリア分析」
- 厚生労働省委託事業「キャリア形成・リスキリング推進事業」
SUPERVISED BY
akina
MOREARIA 代表 / 編集長
MOREARIA編集長。「やりたいことはあるけど、踏み出せない」女性に向けて、挑戦する人たちのリアルな物語と、自分らしい一歩を考えるきっかけを届けるメディアを運営。マーケティング支援事業や実践型スクール「MOREARIA LAB」も展開している。
Morearia
挑戦する女性たちの、隣に。
MOREARIAは、「挑戦する女性たちの次の一歩」に寄り添うウェブメディアです。あなたの一歩が、誰かの次の一歩になるかもしれません。
まずはご相談くださいフォームでのお問い合わせはこちらMOREARIAへの掲載費用はかかりますか?
掲載にあたっては、まずお気軽にお問い合わせください。費用やご協力内容については、個別にご相談のうえご案内しております。
取材やインタビューに興味がありますが、どこから連絡すればいいですか?
お問い合わせページよりご連絡ください。まずはお気軽にご相談いただけます。
記事に登場する方は、どのような方ですか?
キャリアや働き方、起業など、自分らしい選択をしてきた女性を中心にご紹介しています。特別な肩書きや実績よりも、リアルなストーリーを大切にしています。
Follow Us
フォローする














