この記事でわかること
- 正社員からパートにすると変わること
- 収入・社会保険・年金の具体的な違い(比較表つき)
- 2026年10月の社会保険制度改正のポイント
- パートに切り替える3つの進め方と後悔しないための事前チェック
毎日フルタイムで働いて、家に帰ればまた家事。心と体が休まる時間がなくて、「もう正社員を続けるのがしんどい。いっそパートにしたい」。そう感じているあなたへ。
その気持ちは、決して甘えではありません。長時間の勤務、責任の重さ、家庭との両立。いくつもの負担が重なれば、働き方を見直したくなるのは自然なことです。
ただ、正社員からパートへ切り替える前に、知っておいてほしいことがあります。それは、収入・社会保険・年金がどう変わるかという「現実」です。この記事では、変化の中身と、後悔しないための手順を整理してお伝えします。焦って決める必要はありません。まずは選択肢を正しく知ることから始めましょう。
正社員からパートにすると、何が変わるのか
正社員からパートに変えると、働く時間の自由度は上がりますが、収入や保障は下がりやすくなります。まず、この全体像を押さえておくことが大切です。「楽になりたい」という気持ちだけで動くと、後から「こんなはずじゃなかった」と感じることがあります。
正社員とパートの違いを、まず4つの視点で整理しておきましょう。
| 項目 | 正社員 | パート |
|---|---|---|
| 時間の自由度 | 低め(原則フルタイム) | 高め(シフト・時短の調整がしやすい) |
| 収入の安定性 | 高め(月給制・賞与あり) | 変動しやすい(時給制・働いた分) |
| 社会保険・年金 | 勤務先で加入(厚生年金) | 働く時間しだいで加入/扶養内 |
| 責任の重さ | 重め(残業・異動の可能性) | 比較的軽め(契約の範囲内) |
変わるポイントを、収入・社会保険・働く時間の3つに分けて詳しく見ていきましょう。
収入は下がりやすい
正社員からパートになると、多くの場合、収入は下がります。厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査によると、女性の所定内給与は正社員・正職員が月29万4,200円、正社員・正職員以外が月21万300円で、月あたり約8万円の差がありました(出典)。
これはボーナスなどを除いた所定内給与の平均で、実際の差は働き方によって変わります。時給制のパートに変われば、働く時間が減るぶん収入も減るのが基本です。仮に手取りが月5万円下がれば、単純計算で年間60万円ほどの差になります。この金額を貯蓄や生活費でどう吸収するかを、事前に見ておく必要があります。ボーナスや退職金がなくなる場合も多く、年収ベースではさらに差が開くこともあります。
収入を考えるときは、「働き方のタイプ」ごとにイメージを分けておくと整理しやすくなります。あくまで目安ですが、次のように考えられます。
| 働き方 | 社会保険 | 手取りの傾向 | 向いている方 |
|---|---|---|---|
| 正社員 | 勤務先で加入 | 安定して高め | 収入とキャリアを優先したい方 |
| 扶養内パート (週20時間未満) | 配偶者の扶養 | 低めだが保険料負担なし | 家庭やゆとりを優先したい方 |
| 社保加入パート (週20時間以上) | 勤務先で加入 | 中くらい(保険料の負担あり) | 働く時間と将来の年金の両方を取りたい方 |
同じ「パート」でも、扶養内で働くか、社会保険に加入して働くかで、手取りも将来の年金も変わってきます。大切なのは、金額の多い少ないだけでなく、あなたの家庭にとって続けやすい形を選ぶことです。
社会保険と年金の扱いが変わる(2026年10月の改正)
パートになると、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入するかどうかが変わることがあります。ここが最も注意すべきポイントです。2025年に成立した年金制度改正法により、2026年10月からは、これまで「106万円の壁」と呼ばれてきた月額8.8万円(年収約106万円)の賃金要件が撤廃される予定です。
撤廃後も、週20時間以上働くこと、2か月を超える雇用の見込みがあること、学生でないことなどの要件は残ります。そのため、これからは「週20時間以上働くかどうか」が加入を判断する主なラインになります。この改正で、厚生労働省は新たに約200万人が厚生年金の加入対象になると見込んでいます。
厚生年金に加入すれば将来受け取る年金は増えますが、その分毎月の保険料負担も発生します。逆に加入対象から外れる働き方(週20時間未満)を選ぶと、目先の手取りは維持できても、将来の年金額は少なくなります。また、扶養の範囲で働くことを考える場合は「130万円の壁」も関わってきます。制度は変わりやすいため、最新の内容は日本年金機構や厚生労働省の案内で確認すると安心です。どちらが得かは一概に言えず、あなたの家庭の状況によって変わります。
働く時間の自由度は上がる
パートに切り替える大きな魅力は、時間の融通が利きやすいことです。厚生労働省の令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査(パート・有期雇用労働者約2万3,000人が対象)では、女性がその働き方を選んだ理由として「自分の都合の良い時間に働きたいから」が最も多く、無期雇用パートで58.4%にのぼりました(出典)。
勤務日数やシフトを調整しやすくなれば、家事や育児との両立はぐっと楽になります。心に余裕が生まれ、家族と過ごす時間が増えたと感じる方も少なくありません。この「時間の余白」こそが、多くの方がパートに惹かれる理由のひとつです。
パートに切り替える3つの進め方
正社員からパートになる方法は、大きく3つあります。いきなり退職を考える前に、選択肢を知っておきましょう。実は「今の会社を辞めずに働き方を変える」道もあります。自分に合った進め方を選ぶことで、リスクを抑えられます。
- 01
社内で雇用形態を変更する
まず確認したいのが、今の会社にパートや時短への変更制度があるかどうかです。同じ職場でパート勤務に切り替えられれば、人間関係や仕事内容を一から覚え直す必要がなく、負担が少なくてすみます。狙いは、環境を変えずに働き方だけを軽くすること。まずは就業規則を確認するか、人事に相談してみましょう。
- 02
時短勤務や多様な働き方を使う
「パートにするほどではないけれど、今がきつい」という場合は、時短勤務という選択肢もあります。子育て中であれば、短時間勤務制度を利用できることも多いものです。狙いは、正社員の身分を保ちながら負担を下げること。近年は勤務地限定やテレワークなど、正社員のまま柔軟に働ける制度も増えています。
- 03
転職してパートで働く
今の会社に制度がない、または環境そのものを変えたい場合は、パート求人へ転職する方法があります。ただし、この選択は自由度が上がる一方で、収入やキャリアの継続面で不利になりやすい点に注意が必要です。狙いは、より自分に合った環境を新しく選ぶこと。短期的な楽さだけでなく、長期的な条件もあわせて検討しましょう。
後悔しないために、切り替え前に確認したいこと
パートへの切り替えで後悔する方の多くは、事前の確認が足りなかったケースです。決断の前に、次のポイントを整理しておきましょう。勢いで辞めてしまうと、「収入が想像以上に減った」と気づくのは後になってから。だからこそ、動く前の準備が大切です。
- 01
家計と手取りを事前に洗い出す
まず、家計の固定費(住居費・教育費など)と、生活に最低限必要な収入を書き出します。そのうえで、パートになった場合の手取りがいくらになるかを月単位で計算しておきましょう。狙いは、収入が減っても生活が回るかを、感覚ではなく数字で確認すること。配偶者の収入や貯蓄も含めて、家庭全体で見ることが大切です。
- 02
会社の制度と社会保険の条件を確認する
次に、今の会社に時短勤務や雇用形態変更の制度があるかを確認します。あわせて、パートになった場合に社会保険にどう関わるか(週20時間以上などの要件)も調べておきましょう。狙いは、辞める以外の選択肢と、加入の損得を見落とさないこと。制度は年々変わるため、最新の情報を勤務先や公的機関で確認すると安心です。
- 03
よくある後悔を知っておく
実際にパートへ切り替えた方からは、いくつかの後悔の声も聞かれます。代表的なのは「思ったより収入が減った」「パートでも結局忙しかった」「一度辞めると同じ条件で戻りにくい」の3つです。狙いは、他の方の失敗を先に知って、同じ道を避けること。これらを踏まえて準備すれば、切り替え後のギャップはぐっと小さくなります。ここで見つけた働き方の軸は、これからのキャリアを考えるうえでも役立ちます。
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正社員からパートへの切り替えに関するよくある質問
最後に、働き方の切り替えを考える方からよく寄せられる疑問にお答えします。
パートにしたら、社会保険は外れてしまいますか?
必ずしも外れるわけではありません。2026年10月以降は、賃金の要件が撤廃される一方で、週20時間以上働くこと、2か月を超える雇用の見込みがあることなどの要件を満たせば、パートでも厚生年金などに加入できます。加入すれば将来の年金を増やせます。加入するかどうかは、働く時間と家庭の方針をあわせて考えることになります。
正社員を辞めずに負担を減らす方法はありますか?
あります。時短勤務制度や、社内でのパート・雇用形態変更、勤務地限定やテレワークといった制度を使えば、正社員のまま働き方を軽くできる場合があります。まずは辞める前に、今の会社にどんな制度があるかを確認してみてください。
一度パートにしたら、正社員には戻れませんか?
戻れないわけではありませんが、同じ条件での復帰は難しい場合もあります。だからこそ、切り替え前に「将来また正社員を目指す可能性があるか」も考えておくと安心です。迷う場合は、まず時短などで様子を見る方法もあります。
まとめ|あなたの働き方は、あなたが選んでいい
正社員がしんどいと感じるのは、あなたが頑張ってきた証です。パートにするかどうかは、正しい情報を知ったうえで、あなた自身が選んでいいことです。最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。
正社員からパートになると、収入・社会保険・年金は下がりやすく、時間の自由度は上がる
2026年10月以降、社会保険は賃金要件が撤廃され、週20時間以上などの要件が残る
切り替え方は「社内変更」「時短活用」「転職」の3つがある
動く前に、家計・手取り・会社の制度を必ず確認する
まずは、今の会社にどんな制度があるかを調べてみる。それだけでも、あなたの選択肢を広げる確かな一歩です。あなたの心地よい働き方を、応援しています。
SUPERVISED BY
akina
MOREARIA Inc. 代表 / MOREARIA編集長
MOREARIA編集長。「やりたいことはあるけど、踏み出せない」女性に向けて、挑戦する人たちのリアルな物語と、自分らしい一歩を考えるきっかけを届けるメディアを運営。マーケティング支援事業や実践型スクール「MOREARIA LAB」も展開している。
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